一人整体院だから。細々と経営している鍼灸院なんで。を小規模を経営難の理由にしていませんか?
確かに小規模治療院であることのデメリットはあります。でもだからといって諦めてしまえばそれで終わり。諦めたくないあなたに、一人治療院でも経営を成功させ楽しく繁盛していくための5つの秘訣をお伝えします。あ、自費治療院向けです。
一人治療院経営成功の秘訣【1】安売りをしない
一人治療院でよくやってしまう失敗は安売りです。
「近所にある大手チェーン整体院が4,500円なんだから、ウチなんかは3,500円にしないと誰も来てくれないだろう」とか、「接骨院はワンコインで施術できるんだから自費鍼灸院は高くすると誰も受けてくれないだろう」という考えがそうさせてしまうのかもしれません。
気持ちはわかりますが、これは一人治療院ではおすすめしない施策。もちろん、いくら売り上げたいのか?あなたの治療院でやりたいことはなんなのか?によるのですが、安くすれば患者さんが来てくれるだろうという安易な考えではダメです。
一人治療院の安売りは以下のような弊害を招きます
- 精神的、肉体的負担が掛かる
- 自分自身が納得できない
- 忙しいのに儲からない
これらが嫌なら安売りはしないことをおすすめします。
時間単価を上げる
高単価にしたくても周りの治療院と比べて高すぎると集客で苦労する場合があります。で、その心配からなかなか高い値段を付けられないんですね。そういった先生は時間単価を意識してみてください。
たとえば1回の施術料金が4,200円のA院と6,000円のB院、どちらのほうが高単価治療院でしょうか?
そりゃB院でしょ。と、B院をなんの疑いもなく選んでしまうのは時間単価の概念の欠如です。なぜならこうなっているかもしれないからです
- A院 4,200円 施術時間20分(分単価210円)
- B院 6,000円 施術時間60分(分単価100円)
こう書けばA院のほうが実質的な単価が高いことがわかります。
治療院の集客を考えた場合、やはり施術料金が安いほうが集客しやすくなる傾向にあります。(必ずそうなるわけではありません)ということは、上記のA院とB院を比べた場合、A院のほうが集客がしやすい可能性が高い。
つまりA院はB院に比べ、集客しやすく単価も高いという状態が作れます。
施術時間を短くするのは簡単ではないかもしれませんが、できる限りの工夫をして時間単価をアップさせることを意識してください。
動画でさらに詳しく解説しています
フロントエンド商品としての安売りならOK
値引きや安売りが一人治療院の経営にとって必ずマイナスになるというわけではありません。初回お試しなどのフロントエンドとして割引集客するのであれば、長期的な視点で経営にプラスに働くことがあります。
初回は割引価格やお試し商品などの低価格で施術し、通院してもらったり高額のパッケージ施術を購入してもらったりすることで利益を出していく手法です。最近では治療院業界でも多くの院でこの手法を使うようになってきました。
このやり方もブランドやあなた自身のモチベーションが下がるなどのデメリットはありますが、一人治療院の経営にとって有効な戦術にはなり得ます。
ただし、これをする場合はそのあとのリピートの仕組みをしっかりと作ることが大事。初回の問診や説明などその後のリピートにつなげていく部分が弱ければ、このやり方は非常に弱くなりますので注意してください。
もちろん必ずフロントエンド商品を作って経営しなければならないというわけではありません。一人治療院のひとつの経営手法としてアリだよと意味意味です。
安売りは、バカにやらせておけ
著名なマーケッターの神田昌典先生が著書で「安売りは、バカにやらせておけ」と書いています。それをそのまま引用すると
価格を安くしない設定しないほうがいい理由が、もう一つある。それは、割引以外に売る工夫をしなくなるからである。割引とは、極めて安直な方法である。バカでもできる。バカでもできるから、必ずあなたの価格を下回るバカが出てくる。
引用:あなたの会社が90日で儲かる!神田昌典 フォレスト出版
安売りは一つの立派な経営手法です。でもそれは大手がやってはじめてうまくいく方法であって、一人治療院のような限られたマンパワーの個人事業主がやるべき方法ではないんですね。
神田さんがおっしゃっているように、安売りは極めて安直な方法です。考えるのが面倒くさいから、考えることを自体を放棄した先生が行う方法といってもいいかもしれません。
そしてそもそも安売りしたからといってわんさか患者さんが押し寄せるわけじゃあないんですね。
一人治療院経営成功の秘訣【2】立ち位置を明確にする
立ち位置とはコンセプトのようなものです。ウチはこんな治療院だ!という宣言です。これがなぜ必要なのかというと、わざわざ選ぶ理由が必要だからです。
一つ目の、「安売りをしない」を採用したとすると、あなたの治療院の施術料金は近隣治療院より割高になります。その状態のままでは患者さんは来てくれません。なぜならわざわざ高いほうの治療院に来る理由がわからないからです。
だから「あなたが当院に来なければならない理由」をこちらから教えてあげる必要がある。それが立ち位置なんですね。よくわからないという先生は以下のことを明確にすることから始めてください。
- 当院はこんな鍼灸院です
- だからこんな人にぴったりです
- するとこんなふうになれます
これらを明確にすると、患者さんは自分が通ったほうがいいのかどうかの判断がある程度つきます。
そこがわかれば「じゃあこの金額でもメリットありそうだ」と仮に少し相場より割高だったり、少し利便性が悪い立地だったりした場合でもあなたの治療院を選んでくれる確率があがります。
こちらの記事にさらに詳しく書いています
▼鍼灸院集客で最初にやるべきこと
一人治療院経営成功の秘訣【3】メニューを増やし過ぎない
治療院経営が伸び悩むとやってしまいがちなのが、メニューを増やす行為。これは多くの場合、徒労に終わります。というかマイナスに働くことも少なくない。
正確にいうと、メニューがたくさんあること事態はそこまで問題はありません。問題なのはそれらをホームページなどに記載して患者さん自身に選ばせようとしたり、メニューの多さで集客したりすることがダメなのです。
施術メニューがたくさんあるとき、患者さん側の気持ちはどんなものが考えらえるか?
- たくさんメニューがあって嬉しい。
- どこがどう違って、どれを受けたらいいかよくわからない
- どれも専門的に見えなくてチープな感じがする
メニューが多いことでそれを嬉しく思う。そこに価値を感じる患者さんはもちろん存在します。でも一人治療院などに当てはめて考えた場合、これが大きくプラスに働くことは稀です。多くの一人治療院を見てきた僕の経験上、かなり少ないと断言できます。
理由は2番や3番の力が働きデメリットとなることのほうが多いからです。
仮にたくさんメニューがあって嬉しい。と感じた患者さんがいたとして、その患者さんはすぐ2番の壁にぶち当たります。つまり、どこがどう違うかがよくわからないから選べないんですね。で、選べないから来院しない。
んなことあるかっ!とあなたは思うかもしれませんが、本当に本当です。
これは決定麻痺と呼ばれ、選択肢が用意されるとどれにすればいいかわからずに、その決定を先送りしたり、その決定そのものをしないという選択をしたりします。
そしてもっとも怖いのが3番。いたずらにメニューを増やしすぎることで、あなたの治療院の価値を下げてしまうことになりかねないのです。
ラーメン、そば、うどん、カレー、中華、フレンチ、パスタ、韓国料理の表記がされている、一人でやっている小さな飲食店があったとします。フレンチが食べたいと思ったときにそこに行きますか?ここのフレンチは一流だ!と思いますか?
もちろん、行きます!という人も、一流だ!と思う人もいるでしょうが、おそらく少数派です。特に選択肢がたくさんある都会であれば選ばれる可能性はかなり低くなります。
メニューを増やすということは、それと同じことなんですね。来院前の段階から自分の価値を落としてしまう可能性があるのです。
これがスタッフがたくさんいる大きな治療院であれば、あまり問題になりません。なぜならそれぞれの専門家を配置することができるから。でも一人治療院ではそうはいきません。全部一人せにゃならんからです。
以上の理由で、いたずらにメニューを増やしすぎるのは一人治療院ではやめましょう。
ただし複数メニューが絶対にダメというわけではありません。ようは来院してからあなた自身が説明して他の施術コースを勧めればいいだけなんです。選ぶのは患者さんでなく、専門家であるあなたがすればいいだけ。
こちらも動画で詳しく解説しています
一人治療院経営成功の秘訣【4】商品力を高める
どんな商品やサービスにもいえることですが、商品され良ければ繁盛する時代ではなくなってきました。とはいえ、商品力を高めることが経営成功の確率もあがるのも確か。
じゃあ「よし商品力を高めよう!」となったときに多くの治療家は技術を磨こうとします。間違いではないかもしれませんが、大正解でもありません。なぜなら「商品 = 治療技術」ではないからです。ここを間違っちゃう治療家が本当に多い。
正確にいうと治療技術は商品の一部です。商品には他にもさまざまな要素が含まれているんですね。またこの要素も誰をターゲットにするのかによって良し悪しは変化します。決して画一的なものではないんです。
わかりやすくするために、週に1~2回鍼灸院やマッサージ院に通う僕の奥さんを例に考えてみます。彼女が求めているものは
- 話をちゃんと聞いてくれる
- 説明が丁寧でわかりやすい
- 女性施術者
- キレイな院内
- 駐車場がある
- カードが使える
- 痛い施術がない
- 腕がいい(1回で治して欲しいといった願望はない)
- 夜もやっている
- 予約を取ることができる
- 他の患者さんと同じ部屋でない(個室か一人院)
ざっとあげるとこんな感じ。
僕の奥さんのとって上記がそろっているかどうかが良い商品の基準になります。ということは、いくら腕(治療技術)が良かったとしても他がダメなら彼女はその治療院に通院することはない。
このようにあなたが売っているのは治療だけではなく、その他の様々な要素からなる商品を売っているんです。もちろんこれはターゲットによってなにを求めるかは変わります。
たとえば余命半年を宣告されたガンでも治せますよーってな治療院だったら、夜もやっているかどうかなんてどうでもいい項目になるはず。患者さんも生きるか死ぬかの状況なんで、その他の要素なんて無視してもいいぐらい微々たる問題でしょう。
でもそこまでの人をターゲットにしている治療院はそうそうない。もしあなたが一般的な治療院を経営されているなら、自院のターゲットがなにを求めているのか、自分がなにが提供できるのか、この両面から逆算し魅力ある商品を作ってくださいね。
治療技術を高めれば患者さんは来るなどといった幼稚園レベルの発想ではダメです。
一人治療院経営成功の秘訣【5】チャレンジする気持ち
一人治療院の大きな武器はフットワークの軽さだと僕は考えています。一人なんで思い立ったらすぐなんでもできちゃう。これを活用しないなんてめちゃくちゃ損です。
チャレンジ(行動)した結果、仮にうまくいかなかったとしても被害が小さいのも一人院の特徴。これがスタッフが何人もいる場合は、準備や教育も必要だし、失敗したときのリスクもしっかりと計算に入れておく必要があります。
でも一人治療院ならそれがとても小さい。これって本当に大きなメリットなんです。だからどんどん行動すべき。特に扶養家族がいない独身の先生ならもうなにも怖いものなんてないと思うんですよね。
僕自身、実際のところなんの能力もないし、計画的に物事を進められないし、貯金もできない。コツコツ努力するのも苦手で、なんでもすぐ飽きちゃって投げ出す。コミュニケーション能力も、協調性もなし。コネもなければ、容姿だって悪くて20代前半からハゲてる。
うん。書いていて悲しくなってきましたが続けます。
そんなんだから25歳で開業した整体院は1年で潰しました。その後接骨院やマッサージ院でバイトしていたときも、あることで失敗してお金がなくなり半年ほど車で生活していたことだってある。あとから知ったんですが、車で生活している人って分類はホームレスになるらしいですね。
20代でホームレスですよ・・・
でもね唯一、行動力だけはあった。失敗しても失敗してもあきらめずチャレンジする行動力だけはあった。で、運よく今こうやってエラそうにこんな記事を書いているわけ。
実際のところなんかやってもうまくいかないことがほとんどです。そんな、なんでもかんでもうまくいくかっちゅうねん。僕みたいな凡人ならそんなもんです。
あなたにとっての成功の定義や、稼ぎたい額というのは僕は知りません。仮にベタな例として年収1000万を稼ぎたいと思っているとします。では、年収1000万稼いでいる人ってどれぐらいいるかわかりますか?
治療院といった枠組みではなく、給与所得者だと全体の約4%が1000万以上稼いでいる人になります。
たった4%です。そりゃチャレンジして頑張らにゃ届かないですよ。96%の人ができないってことは、普通にやってりゃそっち側にいくってことです。つまりなにかしらのチェレンジが必要ってこと。そう僕は考えています。
でも逆を言うとほとんどの人はチャレンジしていません。一人治療院の先生をたくさんたくさん見てきたけどやるべきこともやれていない。だからチャレンジ(行動)し続ければ上位4%に入るのはそう難しくないんです。いや、ホントにホント。
以上、一人治療院を成功させる5つの秘訣でした。参考になりましたか?
僕のクライアントの9割は治療家が一人で経営する、1人治療院です。1人院の集客経営に関わっていると感じることがあります。それはスタッフをたくさん雇って運営する整骨院などとはやりかたが少し違うということ。
本質的な部分は変わらないのかもしれません。でもあなたが現場で取るべき戦略、戦術、行動はやはり同じではありません。
大手コンサルティング会社が出すノウハウがどうもしっくりこない。たくさん治療院を経営して、成功している先生のノウハウではまったく効果がでない。といったことがやたらと多いのは、ここに原因があるといってもいいのです。
この記事が、一人治療院を経営する先生の気づきになれば嬉しいです。