鍼灸院はリピート患者さんがなにより大事

鍼灸院で売上げを安定させていくには、患者さんに必要な期間や回数をリピート通院してもらうことが大事です。このリピートに関する仕組みができていないと、あなたの鍼灸院の経営はおそらく安定しないものなります。

この記事ではリピート通院についてお伝えします。

1.使命を邪魔するマインドを捨てる

鍼灸院で売り上げを伸ばしていくのであれば、続けて通院してもらうことがひとつの大きな手法です。もちろん大量に新患を集めて、すべて1回で治していくという方法もないわけではありません。もしくは施術料金を1回30万といったように高額にして、少数の患者さんでも成り立つようにすることも理論的には可能です。でもこれらはかなり難易度が高いので、ほとんどの人は難しいでしょう。ということで、ここではいかに末永く患者さんにあなたの鍼灸院を利用してもらうかについてお伝えします。

初めにお伝えしたいのが、この思考(マインド)は捨てたほうがいいということについて。あなたはこんな思考になっていませんか? もしくは周りにこんな思考の鍼灸師がいませんか?

  • 1回で来なくなったのは治ったからだ
  • 何回も通院してもらうは申し訳ない

私がこれまでにお会いしてきた繁盛していない鍼灸師の多くが、この思考に陥っていました。まったくなにも疑わずに。

確かにこの思考が正解のケースもあるかもしれません。1回で治ることだってあるし、治りもしないのに、意味のない通院をダラダラと続けさせるのもどうかと思います。しかしほとんどの場合、鍼灸師の思いこみにすぎません。つまり1回で来なくなったのは、あなたの鍼灸院を見限ったからなのです。当然、患者さんの満足度は著しく低い。

ということで、まずは「1回で来なくなったのは見限られたからだ」という事実を受け止めてください。そして見限られないためにはどうすればいいのか? という方向に考えを向けましょう。

その次に、通院してもらうことに罪悪感を過度に持つのは捨てましょう。なんでもかんでも1回で治す必要なんてありませんし、おそらく普通はそんなの無理です。そもそもそれができるならこの本を読む必要ないですよね。そしてそんなゴッドハンドなら、先ほど書いたように施術料金を30万円にしてもわんさか患者さんが来てくれます。

つまりそうなっていないのであれば、あなたにはそんな神業のような技術はないのです。ということは患者さんに通院してもらって、時間が掛かったとしてもしっかり改善させていくことが鍼灸師としての使命なのです。だからこの使命を邪魔するマインドは捨てたほうが絶対にいいと私は考えています。

 

2.納得して通院してもらう

余計なマインドを捨てさることができれば、次に大切なことは、いかに納得して通院してもらうかです。ここは鍼灸院経営にとって非常に大事なポイントです。

よくリピートに関する話をすると「患者さんを無理矢理通わせるなんて俺にはできない」と反論する先生がいます。確かに半ば強引に回数券を売ったり、長期間退会できないような会員に言葉巧みに入会させたりすることは可能です。短期的にみればそれで経営が成り立ちますし、やろうと思えば鍼灸師になったばかりの新人でもそういったことをできます。

しかし私がここでお伝えしたいのは、そういった手法ではありません。患者さんに通院の必要性をしっかりわかってもらい、自らの意思であなたの鍼灸院に通ってもらう方法です。

リピートに必要なことは次の3つが基本です。

  • コンセプトや考え方の合ったリピートする患者さんを集める
  • 患者さんの解釈モデルなど話を全部聞き出す
  • すべてわかりやすく説明する

これらができると患者さんは納得してあなたの鍼灸院に通ってくれます。

■リピートする患者さんを集める

リピートを考えた場合、新規集患の段階でどんな患者さんを集めたのかがもっとも重要になります。多くの鍼灸師は、患者さんが来院してからが勝負だと考えています。しかし実はそれだと遅いのです。

自院のコンセプトや考え方に合わない患者さんを集めてしまうと、たとえどんな素晴らしい治療を行ったとしてもリピートはしません。リピートは来院前から始まっていることをしっかり肝に銘じてください。

どうやってリピートする患者さんを集めるのかを簡単に言うと「ウチの鍼灸院はなんでも1回で治してしまうような院ではないですよ。必要な場合は通院してもらわないといけないからそのつもりで来てね」というメッセージを新規集患の段階で伝えることができているかどうかです。

これには、

  • 当院はこんな鍼灸院です
  • だからこんな人にぴったりです
  • するとこんなふうになれます

これら3つを丁寧に言語化していくことで伝えます。

■患者さんの話を全部聞く

患者さんに「この先生に任せればなんとかしてくれそう」と期待してもらうにも、「不調を改善するためにこの鍼灸院に通おう」と決意してもらうにも、まずはしっかりと患者さんの話を聞くことが大切なポイントになります。

それには患者さんが、自分の体のことをどう思っているのかという解釈モデルをすべて話してもらうことが重要です。そしてそれ以外にも、患者さんの過去・現在をしっかり聞き出したり、未来をイメージしてもらったりすることを目指します。

ようは、この先生は私の話を全部聞いてくれて、すべてを理解してくれている。だからこの先生がいうことはちゃんと聞こう。という信頼関係を築くためにしっかりと患者さんの話を聞く必要があるのです。

■すべてわかりやすく説明する

患者さんの話をしっかり聞いて信頼関係を構築することができれば、次はあなたの解釈モデルや考えを丁寧に伝えることが大事になります。ここで意識すべきポイントはすべてをわかりやすく説明するということです。

よくやってしまいがちな悪い例は、情報を隠してしまったり、勝手に決めつけてしまったりすることです。

たとえば、目の前の患者さんを改善させるためにベストな通院間隔は、週に2回のペースだとあなたは見立てをしたとします。そう見立てたにもかかわらず、それをちゃんと患者さんに伝えない鍼灸師がこれにあたります。

週に2回も来いといったら、もう来なくなってしまうのではないか? 金の亡者と思われてしまうんじゃないか? この患者さんはお金がなさそうだし通院は無理ではないか? といったように勝手に決めつけて、必要な情報を説明しない先生は鍼灸師失格です。

「治療が良ければ、なにも言わなくてもまた自分から予約を取るだろう」という考えを持つ人もいますが、これは大間違いです。なぜなら患者さんは次にいつ治療を受けるべきかを、ちゃんと説明してもらわないとわからないからです。

通院計画などを説明して、それが無理なら次善の策を考えればいいだけの話なのです。それを勝手に判断して説明を怠るということは、結局一番損害を被るは患者さんであることを忘れてはいけません。

だからとにかく全部をわかりやすく説明することがもっとも重要なことです。そしてこの説明に従ってくれるかどうかは、先にお伝えしたように「どんな患者さんを集めたか」と「いかに信頼関係を築けているか」に掛かっています。

■説得になってはいけない

この章で説明したように、

  • コンセプトや考え方の合ったリピートする患者さんを集める
  • 患者さんの解釈モデルなど話を全部聞き出す
  • すべてわかりやすく説明する

この3つのステップをすべて踏まずに患者さんと接してしまうと、納得ではなく説得になってしまう危険性があります。説得された患者さんは一時的にはあなたの考えに従って通院をしてくれるかもしれません。しかし納得していないので、すぐに通院の決意は鈍ってしまいます。

1~2回は続けて来てくれるけどそのあとが続かない。そんな患者さんが多い鍼灸院がありますが、その原因のひとつがこれです。つまり納得ではなく説得してしまっているのです。

誰だって自分の価値観に合わない提案(通院計画)には従う気になれません。こちらの話を聞かない相手の提案にだってそうです。そしてそういった相手からの、しかも知りたいことをすべて明かさないような説明では納得できないのです。

だからここでお伝えしたように3つのステップを意識して、患者さんに納得してもらう必要があります。人は説得されて買った商品は「買わされた」感が残りやすくなります。そうすると思い通りの治療成果が出なければ、すぐに見限ります。

しかし納得して治療を受けると決意した場合は、自身がくだした決断となります。すると、たとえ治療経過が順調に進んでいかない場合でも、根気よく通院してくれる可能性が高くなります。その結果、治療成果も向上して患者さんの満足度も上がります。なにより必要な期間通院をしてくれることで鍼灸院経営も安定します。

巷には問診や説明でリピートを増やす手法の情報が、数多く紹介されています。すべてではありませんが、なかには説明だけをがっちりすることで説得することを目的としているものや、患者さんと仲良くなればそれでリピートしてもらえると訴えているものもあります。

確かに間違いではありません。しかしそれではここでお伝えしたことに比べて弱くなってしまいます。リピートも一過性のものとなる可能性が高いでしょう。

患者さんはあなたの鍼灸院に来院するときは、たくさんの不安や悩みをもっています。あなたがしなければならないことは、まずそれらをすべて吐き出させることです。私はこれをいつも、水でぼとぼとになったスポンジにたとえます。

初回の問診で患者さんの解釈モデルなど聞き出すことで、ぼとぼとのスポンジをぎゅーーーっと絞りつくします。そうするとカラッカラの乾いた状態にすることができます。その後に、あなたの鍼灸師としての解釈モデルや治療計画についての説明をするのです。すると、まさしく乾いたスポンジが水を吸うようにあなたの説明を受け入れてくるようになります。

これをまだ水がぼとぼとまま、つまり話をしっかり聞かずにこちら考えだけを入れていこうとすると、吸収率が悪いだけでなく、どうしても説得になってしまうのです。

この本質的な3つのステップをイメージし、それを普段の患者対応に生かしていくことができれば、あなたの鍼灸院の患者さんの満足度はおのずとあがります。もちろん結果として売り上げも伸び、経営も安定します。

もちろんこれは、患者さんを無視して自分だけ儲かりさえすればいい、という考え方に基づくものではありません。信頼おける先生に自分の体を任せて、不調を改善したい患者さんと、責任ある治療とそれにともなう対価を得たいと思う鍼灸師、この両者をつなぐための考えに基づいています。まさしく誰も損をしないために必要なステップだと私は考えています。

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