通院計画を告げるべきか否か

大阪でカイロプラクティック院を経営されている先生からご質問をいただきました。

初回の問診時に治療計画を伝えることに意義を感じながらも、デメリットもあるのでは?というご質問。

通院回数の目安を予め話す、という事について。

加藤先生から、HP、問診時に伝えた方が良いとの事で時折り話しています。以前は、聞かれた時だけで、それ以外は話しをすることはありませんでした。

加藤先生からアドバイスを受けてから、全員ではないですが話すようにしています。特に、問診表や問診時に「この人は本当に通えるのかな?」と思った時には、必ず話すようにしています。

それが良き方向に行き、ある意味通院の覚悟をしてくれる人もいますので、とても良いと思って続けています。逆に安易に考えて1回や数回で治ることを期待して来ている人達は「無理だ」と判断されるので、これは中途半端に通院して止めるよりも患者さんにとって良いと思います。

さて、前者は良いのですが、後者の場合、当然ながら1回で来なくなります。これは、良いように取れば「これで良いんだ」となります。しかし、本当にそれで良いのかな?と考える自分もいます。

何も言わずに、患者さんは数回で治る事を期待して通院し、それで治らなくても、明らかに通院することにより楽になっているなら、続ける人もいると思います。

その芽を1回で潰していることもあるよな?と。

じゃあ、「とりあえず3回だけでも通院し、それから判断して」も考えましたが、通院に対するモチベーションが低いですから「3回で多少楽になっても、結局通わなきゃだめでしょ?」になるなら、治癒力も上がらないかな?とも考えました。

施術代金が高い・安いを感じるのはこちら側の勝手ですが、単純に整骨院の数百円より5千円の方が高いと感じて当然です。

また、6千円でやっていた時には価格についてほとんど言われることはありませんでしたが、値上げしてからはよく「ここは高いから何回も通えない」と言われるようになりました。まあ、1万以上でやってる人からすれば「こいつばかじゃね?」と言われるでしょうが。

そんなこんなで、迷える子羊に何か良き導きをして頂ければ幸いです。

ご質問ありがとうございます。
ご質問にお答えする前に、僕の基本的な考えについて書きます。

治療計画(通院の目安)を伝える理由


僕は初回の問診・説明時に治療計画を伝えることをすすめています。伝えるタイミングは施術前の説明のときがベストだと考えています。(施術後も再度伝える)

その主な理由は、

  • 後から言うと言い訳になる
  • 多くの患者さんが知りたいと思っている
  • 患者さんに勝手に身体の状態を判断させない

などが挙げられます。

後から言うと言い訳

施術後の患者さんの状態は大きく分けて2種類あります。

  1. 痛みの軽減、体の変化があまり感じられない。
  2. 痛みが軽減もしくは消失。体の変化をしっかり感じた。

簡単に言うと、1番は全然治ってない。2番は成果があった。という状態。
もちろん細かく分類すればもっと細かくなりますが、大きく分ければこんな感じ。

では、1番の患者さんに向かって、施術が終わってから「1回じゃ治りませんよ。●回は通ってください」と告げた場合どう思うでしょうか?

そりゃ1回では治らんわね。頑張って通おう!と思う患者さんもいる反面、こんなふうに思う患者さんもいるのです。

「初回で変化なかったからって後付けで●回通えって言ってるんじゃないの?」と

 

では今度は2番の場合はどうか。

2番のケースは、期待通り、もしくは期待以上に施術の成果が上がっている状態です。患者さんからすれば、すごい!1回で治った!やったぁ!となっているかもしれません。

その状態の患者さんに、「いやいや1回では治りませんよ。一時的に治っているように見えるだけ。だから●回通ってね」と告げた場合はどんな反応をするでしょうか?

そうか、通院が必要か。と納得する患者さんもいます。しかしその反面、治ったのに金の為に通わせるなんてなんていやらしい治療院なんだ!と思う患者さんがいても不思議ではありません。

つまり1番でも2番でも、どちらに転んだとしても、マイナスな局面にぶち当たる可能性がそこそこあるんですね。

これをマイナス面をできるだけ低くするために、施術前に先に伝えておくわけです。そうすると、1番になっても2番になってもマイナス面に転ぶ可能性が低く抑えらるからです。

通院回数は多くの患者さんが知りたいと思っている

多くの患者さんは、何回通えばいいのか?を知りたいと思っています。

明確にとまでは思っていなくても、「だいたいでいいから教えて」と思うのが一般的な患者さんだと考えて、まず間違いないでしょう。となると、その知りたいことを伝えないというのは絶対にあってはならないことです。もちろんこれがリピートに影響します。

とはいえ、簡単なことではありません。だって何回で治るかなんて誰もわかるはずありませんから。それに、5回です!といって5回でなんともならなかったら、治療家としては、それはそれで困った状況になるわけです。

そのへんのところは、五流インチキ治療家だったとはいえ、一応もともとは現場に立っていた身ですのでわかります。それでもやはり目安でいいので伝えるべきだと僕は考えます。

それだけ患者さんの「どれぐらい通えばいいのか知りたい」という欲求は強いと考えているからです。

患者さんに勝手に身体の状態を判断させない

患者さんはこちらがなにも言わないと、判断基準が自分だけになります。そうなると、痛みがなくなったしもう通院しなくてもいいか。と勝手に判断します。

それでも問題ない。という治療院であればいいです。

でも「いいや、痛くなくなったからといって治ったわけじゃない。だからしっかり通院してもらわないと、患者さんもこっちも困る」というのであれば、こちらから先にそれを伝えておく必要があります。

治療院の問診時に通院回数を伝えるべきか?という質問の回答


最初に、ご質問いただいた内容をまとめます。

通院回数の目安を伝えることで、通院を覚悟するといったプラスに働く場合と、マイナスに働く場合がある。マイナスに働いている場合を考えると、ひょっとしたらもっといい対処法があるのでは?と考えている。

ということでした。確かにご質問の先生がおっしゃるように、伝えたがために、もっとリピートしたかもしれない芽を摘んでしまったという結果になるケースは考えられます。

しかしそのデメリットを考えたとしても、やはり伝えるメリットのほうが大きいので、結論としては「どんなケースでも伝える」というのが僕の考えです。メリットについては先に書いたとおりです。

すみません。ろくな回答になってませんね。もうちょっとだけ深くお伝えしてみますね

通過点を設定する

ご質問された先生の考え方となんら変わらないのですが、通過点の設定も一つの方法です。

患者さんのゴールは、頭痛の心配をせず、仕事に打ち込める体になる。だったとします。患者はそこに到達したいと思っている。ただしできるだけ少ない回数で。

そこにいきなり「30回通え」というとやはりビビります。え?そんなに通うの?ってなります。

それを回避するために、30回というゴールは提示したうえで、5回といった通過点をまず設定します。ここで重要なポイントは、その5回でどうなれるのかを伝えることにあります。

5回頑張って通って、まずはロキソニンの量を減らす。という通過点を設定するんですね。

※わかりやすい例として、ロキソニンを持ってきました。薬うんぬんの話を医師以外がやってもいいのか?という問題は一旦無視してください。

質問された先生が懸念されているように、モチベーションが低いと続きません。来院する意味が薄いと続きません。だからこちらから「あ、それだったらとりあえず通ってもいいかも」という通過点を用意してあげるのです。

で、実際にそれに近い結果が出れば、その先も手に入れたくて通院してもらえる可能性はいくぶん高まります。

治療院のリピートはこれができれば理想


ここからはご質問内容から少しそれます。僕が思う理想についてお伝えします。あくまで僕の考える理想であって、正解という意味ではありません。

僕の思う理想は、新規集客の段階で通院するつもりのない患者さんは集めないことです。理想論なんで、実際にそれを完璧に達成することはかなり難しいですが。

理想を目指すべき理由

難しいといっても、そこはできる限り目指すべきかなと思っています。そのためには、仮に来院してからでも、方針に合わない患者さんには説明をして、場合によっては施術を受けずに帰ってもらう。といった対応も必要になります。

なぜそんなことをするのかというと、結局のところ、治療院側が提供できること(もしくはしたいこと)と、患者さん側が求めていること、この双方に乖離があればうまくいかないからです。

これを実践すると、新規数は減ります。でも、最終的な売り上げ、やりがい、安定性などは増加する傾向にあります。特に1人治療院などではその傾向が表れやすいです。(大きな院になると逆の力が働く可能性が高い)

問診・説明は誰のため、なんのためにするのか?

通院計画の説明もそうですが、ここで述べている、新規集客の時点でのブロックや、来院されてからの確認作業は、誰のためにするものでしょうか?

結局は双方のためだと僕は考えています。特に1人治療院などは。

治療院側からすれば、いくらちゃんとした施術や説明をしたところで、通院するつもりがハナからない患者さんというのは非常にストレスを感じます。(感じない先生もいますが)

もちろん、とりあえず少し通ってみれば、その考えが変化する患者さんもいることはいます。そうなった場合、売り上げ的には増えますので、経営判断としてはそちらを選択してもいいかもしれません。

しかし、相手は大人ですから、確率や難易度からいって、そういった患者さんの考え方を変えるのは難しいです。だったら最初からからミスマッチはなくす方向で動いたほうが僕はいいと思うのです。

治療家には応召義務がある!という考えの先生には向きませんが

いっぽう患者さん側からすれば、1回で治してほしいわけですから、通院指導してくる治療院なんぞに用はないわけです。

できないなら最初からそう言えよ!と思っている患者さんだっているはず。そういった患者さんにとっては、痛み止めでもなんでもいいからその場さえなんとかなればいいのです。

だから結局は患者さんと治療家の両方のためなんですね。

以上、治療院の問診時に通院回数を伝えるべき理由について。参考になったら実践してみてください。治療院の問診については以下の記事も参考にしてください。

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