鍼灸院の集客

鍼灸院は治療院の中でも集客がむずかしいと言われています。実際に巷の鍼灸院を見ても、整体院や接骨院と比べると集客に苦労されている先生が多いように感じます。

ということで、今回は鍼灸院の集客についてお伝えします。きれいごとではなく、僕の全国のクライアントの実例を踏まえた事実を書くので、本気でしっかり集客したいという鍼灸師の先生は是非最後まで読んでください。

鍼灸院の軸を決める


鍼灸院に持続安定的に集客したいのであれば、まずは軸を明確にすることが重要です。これは整体院や接骨院でも同じことが言えるんだけど、集客しにくい鍼灸院だとさらに重要だと言えます。

軸というのはコンセプトという言葉に置き換えてもOK。あなたの鍼灸院が

  • 「誰が」「どんな施術」をおこなっているのか
  • だからどんな人にぴったりなのでか
  • そのぴったりの人が施術を受ければどんなふうになれるのか

この3つのことを明確にすることが大事なんですね。

この3つが重要な理由は、これらが明確にわからなければ、患者さんはどの鍼灸院を選べばいいかがわからないからです。

あなたは鍼灸師だと思うので、鍼灸については一般の方よりもはるか多くのことを知っているはずです。でも一般の患者さんは鍼灸のことなんてそう多くは知らないんですね。知らないだけならまだしも「なんかちょっと怖いかも」といったような、ネガティブな感情を持っている人も少ないないんです。

となると、誰がやっているのか、どんな施術をするのかもよくわからないような鍼灸院をわざわざ選択して訪れるかというと、当然訪れないわけです。だって不安やもん。

そうすると、そんな人はどんな基準で鍼灸院など治療院を選ぶのかというと「近いから(便利だから)」「安いから」「安心できそうだから」という理由で選ぶんです。

もしあなたの鍼灸院が路面店の立地のいい場所にあって、価格もお手頃で、そして外観もキレイでスタッフも多くて、安心できそうな雰囲気を醸し出しているなら、「近いから(便利だから)」「安いから」「安心できそうだから」に当てはまるので、軸を明確にせず、誰でもお気軽にお越しくださいというスタンスでも大丈夫です。

でも、そうでないなら、ちょっと不便なところにある。値段も安くはない。一人院で外観も普通、もしくはお世辞にもキレイとは言えないレベル。そんな状態なら軸を明確にしないとほぼ選ばれなくなっちゃいます。

っちゅうことで、鍼灸院に集客したいならまずは軸を明確にすることが超重要です。

腰痛専門鍼灸院にすればいいのか?


ただしちょいとだけ注意してほしいのが、専門院にするという意味ではないんです。軸を明確にしよう!コンセプトを決めよう!というと、「腰痛専門鍼灸院」といったように、なにかの症状に特化させることだと考える先生がいますが、それは違います。

たしかに特定の症状に専門特化させるというのはマーケティングのひとつの手法です。そして効果を発揮しやすい有効なやりかたであるのも事実です。

でも、専門特化鍼灸院はなんにも考えずに誰でもすぐにできちゃうぶん、同じような専門院があなたの鍼灸院の近くにあっという間に2~3院できてしまうリスクもはらんでいるんです。もしそうなったら専門院の、ここにしかないという優位性がサクっと崩壊しちゃうんです。これってちょっとリスキーですよね

この専門院については動画でも解説しているのでそちらを参考にしてください

 

ということで、安易な考えで専門特化院にすることはおすすめしません。まずはこのセクションの冒頭に書いたように、あなたの鍼灸院がどんな院なのかをしっかり明確化してください。その後、周りのライバル院も見てそのうえで専門院にするのであれば、それは全然問題ないです

んじゃ、まずはあなたの鍼灸院の軸を明確にすることから始めてください。軸の決め方についてはこちらの記事、【鍼灸院集客】自院にあった患者さんを集める方法に詳しく書いているので参考にしてください

 

鍼灸院のホームページ集客


軸が明確になれば次にやるべきことはホームページ作成です。

鍼灸院の広告制限

鍼灸、あん摩マッサージ指圧、柔整などの国家資格を持っている人なら知っているとおり、あはき法の7条と柔整法の24条で広告は厳しく制限されています。それのせいで看板やチラシといった媒体には、ほとんどの情報が掲載できません。

だから鍼灸院のオフライン集客はちょっと無理があるんですね。だってなんも書けないんですから

でもホームページならなんとかその問題をクリアして、もう少しまともなことが書けちゃうんです。鍼灸院のホームページは広告ではなく広報という扱いになっていると考えられるからです(厳密には明文化されたものがあるわけではなく、そう考えるのが妥当という意味です)

治療院の分野でも広告ガイドラインを作るための検討会が、厚労省で進んでいるので、この解釈や今のやり方がいつまで続くかはわかりません。ただ、この記事を書いている2024年5月の時点においてはまだ広報扱いと言っていい状態にあります。

こういった背景があるので、集客したければホームページは必須なんですね。特に立地に恵まれていない、競合が多い、価格が高いといった鍼灸院ならばホームページをしっかり作り込まないとまともに集客するのはかなりしんどいです。

鍼灸院のホームページに書くべき基本

ではホームページに何を書けばいいのかについてお伝えしますね。基本的には前のセクションでお伝えしたことを詳しく書いてください。さっきの3つです

  • 「誰が」「どんな施術」をおこなっているのか
  • だからどんな人にぴったりなのでか
  • そのぴったりの人が施術を受ければどんなふうになれるのか

この3つです。これらがわかれば、患者さんはどんな鍼灸院なのかがわかるんで、行くべきか行かないべきかの判断ができるようになります。

判断できたうえで選ばれなければ、もうそれは仕方ないんです。一番もったいないのは、ちゃんと書いてあってそれがわかれば「私にぴったりの求めていた鍼灸院だ!」と思ってくれたのに、書いてないからわからないという状態です。それがないように上記3つを意識して作ることが重要です

どんなページを作るべきなのかなどはこちらの記事に詳しく書いているので参考にしてください
→ 治療院のホームページってなに書けばいいの?

鍼灸院のホームページを育てるページ

基本的なことができれば、次のステップは症状ページと症例ページの作成です。あなたの鍼灸院で対応できる症状について詳しく記載されているページを作成してください。

鍼灸院の症状ページ

症状ページ作成で必ず守るべきことは「1症状1ページ」です。ひとつのページにたくさんの異なる症状を羅列するのは絶対に避けてください。理由は、そうしないとSEOやMEO的な評価が得られないからです

たとえば新大阪で五十肩の治療をしてくれるところないかな?と探している見込み患者さんが「新大阪 五十肩」とか「新大阪 五十肩鍼灸」といった感じに検索したときに、上位表示されにくくなってしまうということです

もちろんSEOやMEOだけじゃなく、そもそもあれもこれも詰め込んだページは読みにくいというのもあります。ということで「1症状1ページ」は絶対に守ってください。

では具体的に症状ページに書くべきことはなにかというと、以下のような構成がおすすめです。

  1. どんな症状のどんな状態の人がどうなれるのか(ヘッダー)
  2. 具体的な悩み
  3. その悩みを持つ人がなにをすれば改善するのか
  4. 患者さんの声
  5. 当院の特徴(その症状が改善する理由)
  6. 通院回数の目安
  7. 症状の情報
  8. その他の社会的証明(雑誌掲載など)
  9. よくある質問
  10. 施術料金
  11. 最後に院長のひとこと

多少順番が入れ替わっても問題ないんだけど、わからない場合はこの通りの順番で書いてみてください。

もっと具体的に教えてくれないとわからんのじゃ!という方は、サンプルサイトとして実在しない整体院のホームページを作ったので、その院の症状ページを参考にしてください。
サンプルサイト → 新大阪整体の五十肩の症状ページ

ちなみに上記リンク先のページはChatGPTで出力したものに少し修正を加えて作成しました。上記サイトの症状ページは、腰痛のページ以外はすべてChatGPTに9割がた作ってもらいました。そっちのほうが圧倒的に早いので。その作り方やテンプレについては以下から配布しているので、興味ある方は見てください
→ ChatGPTを使って治療院の症状ページをサクっと作る方法

鍼灸院の症例ページ


症状ページができたら次は平行して作成していってもらいたいのが症例ページです。

症状ページと症例ページってなにが違うねん?と思ったかもしれません。これ、いつも聞かれます。症状ページはその症状に悩む人向けに書かれているページで、それを読むことで、どんな人がどんな治療をしてくれて、どうなるのかがわかるページ構成になっています。

それに対して症例ページは、一人の患者さんにフォーカスをあてて、その方がどんな症状や状態に悩んでいたのか、そしてどんな施術を受けてどうなれたのかを詳細に説明するページです。

おすすめの構成は

  1. どんな患者さんが来られたのか
  2. 来院までの経緯
  3. 初回時のおもな悩み
  4. 初回来院時の状態(みたて)
  5. 施術経過
  6. 施術後の感想(患者さんの声)
  7. 院長からコメント

こんな感じです。これも具体的に教えろや!ってな方のためにサンプルサイトを用意しました。
→ 新大阪整体の自律神経失調症の症例ページ

ちなみにこれもChatGPTで作りました。症例ページはもう面倒くさくなってきてあまり修正も加えずにかなりそのままの文章を掲載しています。そのため、ちょっと変な文になっているところがありますが、あくまでサンプル整体院のサンプルページなんで気にしないでくださいな。

 

鍼灸院のポータルサイト集客


ポータルサイトでも鍼灸院に集客は可能です。いくつもありますが、代表的なサイトでいうと「しんきゅうコンパス」「エキテン」「ホットペッパービューティー」の3つ。

ターゲットを広く設定する好立地の大手院でなければ、原則としてこれらポータルサイトは集客のサブとして活用することをおすすめします。ホームページを作らずに、ポータルサイトだけで集客を担うのは集客数の面でも、リスクの面でも問題があるのでおすすめしません。

また、必ず集客に活用しなければならないというものでもないです。あなたの鍼灸院の戦術や考えに合ったポータルサイトを活用していくことが大事です

ホットペッパービューティー


ポータルサイトの中で集客数だけを見れば、ホットペッパービューティーがもっとも多いと言えます(地域差はあります)その反面、他のポータルサイトよりも割高で期間の縛りもあるので費用は多く掛かります。

僕のクライアントのこれまでの事例でいうと、人口の多い地域だとそれなりに集客ができています。利用者層は20代~30代の女性がメインなので、そのターゲットを狙うには適した媒体といえるかもしれません。

ただし最大のデメリットとしてリピート率の悪さです。そもそも「安く受けたい」という層が見るポータルサイトの傾向が強いので、割引きが効かない2回目以降は、また別の鍼灸院を探すといった行動に出る人も少なくないです。

とはいえ、ホットペッパーでもリピートが取れているという鍼灸院もあるので、絶対に無理というわけではないです。問診説明などのスキル、適切なフォローをしっかりおこなえば費用対効果的に利用することは可能です。

個人的には路面店でスタッフも多く雇っている鍼灸院であれば積極的に活用してもいいかなと考えています。集客数が見込めますし、1回で終わったとしても人件費を上回れば短期的にはそれでOKだからです。

逆におすすめしない院は、人口も多くない、立地もあまりよくない、それなりに重症な患者さんをターゲットにしているような鍼灸院です。悩みの深い患者さんが多く存在する媒体ではないので、ホットペッパーでは苦戦します。そういった鍼灸院の場合、他の集客ルートが弱く、一時的にホットペッパーを使うのであればギリギリいいですが、恒常的に使う媒体ではありません

エキテン


2017年ぐらいまではエキテンはとても集客力が強く、毎月10名以上集客できていたという鍼灸院もたくさんありました。でもこれを書いている2024年現在でいうと、そこまで集客できている院はまれで、せいぜい数名程度までの院がほとんどです。

とはいえ、集客力がまったくないというわけではないので、まずは無料登録だけはしておくべきです。それだけで集客できることはほぼありませんが、SEO・MEO的な評価は少しだけ受けることができます。

そして可能であるならば、一度は有料プランも試してみたいところです。

プラン 初期費用 月額料金
正会員 30,000円 5,500円
ゴールドプラン 30,000円 16,500円
プラチナプラン 30,000円 33,000円

※2024年5月時点の情報です

たとえば、プラチナプランを試して月に平均して3名の集客ができたとします。一人の患者さんを集客するために掛かった費用は11,000円ということになりますよね。これをどう見るかです。1万円も掛かるなんてもったいない!と見るか、1万円で集客できるなら費用効果的だと見るかです。

エキテンはホットペッパーに比べると「安いモノがいい」という層は少ないので、リピート率はそんなに低くならない傾向にあります。こういったことから考えると、僕的には1万円で1人集客できるなら続ける価値があると判断します。

これはあなたの鍼灸院のリピート率によって考え方が変わるので、あなた自身で判断してみてください

しんきゅうコンパス


しんきゅうコンパスはここで紹介したポータルサイトの中では唯一、鍼灸に特化したサイトです。

他の2つに見ると少しSEO的な面で劣るので、地域によっては検索順位がかなり下のほうになっている場合もあります。そういった事情もあって集客数そのものは多くは見込めません。

でもこれもさきほどのエキテンと同様、SEO的なメリットのために、まずは無料登録は必ずしてください。そして有料会員も一度は試したいところです。

またこれもエキテン同様、リピート率は悪くありません。しんきゅうコンパスは最上位のプレミアムプランでも月額5,500円なので、費用的な面ではかなり安いです。これで月に1名でも集客できれば、十分元が取れるのでやってみる価値はあります。

ポータルサイトまとめ

ポータルサイトで集客できるかどうかは、以下の要素が絡み合って決定されます

  • ポータルサイトの検索順位
  • ポータルサイト内でのあなたの鍼灸院の掲載順位
  • ポータルサイト内の他の治療院の強さ
  • あなたの鍼灸院の口コミ数や質
  • あなたの鍼灸院がある地域の検索ボリューム
  • ポータルサイトの利用者層とのマッチ度

こういった要素から成り立っているので、ひとことでどのポータルサイトだと集客できるとは断言できません。だからこそ、エキテンやしんきゅうコンパスのセクションでお伝えしたように試してみることが大事なんですね。それしか適切な方法がないからです。

ということで、無料登録は必ず行い、あとは余裕のある範囲で有料会員なども試していってください。

今回は3つのみの紹介になりましたが、他にもポータルサイトはあります。地域限定のものもあるので、それはご自身で探して同じように無料登録はしたうえで有料なども試してください。

あと、EPARKという検索上位にくるサイトもありますが、今回は紹介しませんでした。理由は僕が嫌いだからです。僕がもし鍼灸院をしていたとしてもこの会社のサービスは絶対に使いません。自分が使わないようなサイトを紹介するのは良くないなと思ったので今回は取り上げませんでした。

 

鍼灸院のチラシ集客


鍼灸院のチラシ集客はかなり難しいです。理由はホームページ集客のセクションで書いたように広告制限があるからです。あはき法でいうと第7条です。

なので、原則としてお金を掛けて配布するのは避けたほうがいいというのが僕の考えです。法律を守ったチラシではほぼ費用対効果的なチラシが作れませんから。

とはいえ、広告にあたらないであろう条件下では使いたいので、作成して手元においておくぐらいはしたいところです。たとえば、既存の患者さんから「チラシないの?知り合いに渡したいんだけど」って言われたときに、サッと渡せれば便利ですよね。

広告にあたらないであろう条件下というのは、具体的どんなとき?と言われれば明確にはないので、上記が違法なのかどうなのかは僕にはわかりません、最終的には管轄の保健所などが判断することなので。

拡大解釈すれば、他にも近隣店舗の方に渡しておくなんてこともアリちゃあアリだと考えています。関係法規や活用法については以下の記事で解説しているので参考にしてください。
⇒ 鍼灸院など国家資格者のチラシ集客

 

鍼灸師やめとけ


ネット上には「鍼灸師やめとけ」的な記事がたくさんあります。このページの冒頭でお伝えしたように、鍼灸院の集客の難しさから来ているんですね。

たしかに鍼灸院の集客は簡単ではありません。でも今回ご紹介したことをしっかり実践してもらえれば、ちゃんと集客はできます。実際に僕が運営する治療家コミュニティの先生たちは頑張って繁盛院と呼ばれるような鍼灸院を運営されています。

ネガティブなイメージがあるといったマイナスの外部環境ももちろんありますが、結局のところ多くの鍼灸院経営者が、やるべきことをやっていないというのが最大の原因なんですね。やることやりゃあ楽しく経営できるんです。

僕は治療家をサポートする会社を12年続けてきましたが、設立当初から「治療院の中では鍼灸院が一番魅力的で将来も明るい」と言い続けています。もちろんやるべきことをちゃんとやればの話ですが、実際のところ本当に鍼灸院は伸びしろだらけなんですよ。

その理由は

  • 鍼・灸は、はり師・きゅう師にしかできない(厳密には医師もできる)
  • 大規模チェーン展開しにくい
  • 適応症が多く論文やエビデンスも豊富

などがあげられます。また海外での認知度もそれなりにあります。もう少し詳しく書いた記事があるんで、よかったら参考に読んでください
⇒ 鍼灸師やめとけは誤り。鍼灸師は魅力的な資格

ということで、今回の記事は参考になりましたでしょうか?本当にやることやればちゃんと集客できるようになって、楽しく鍼灸院経営できるようになります。頑張っていきましょう!

 

記事内一部の使用画像 – 著作者:freepik
著作者:cookie_studio/出典:Freepik

割引しなくても、煽らなくても、回数券を使わなくても、あなたの治療が受けたいと患者さんが集まり「週休二日で楽しく繁盛する治療院のつくり方」解説動画