治療院とは?治療院開業までに種類と特徴を知っておこう

治療院とはなにか? この「治療院」という単語、僕はこの業界に20年以上身をおいているので当たりまえに使っていますが、開業前の先生だとぼやっとしている方もいるかもしれません。

ということでこの記事では治療院開業前、もしくはもっと前の資格取得前の先生向けに接骨院、鍼灸院、整体院の違いや特徴についてお伝えします。参考にしてください。

治療院とは? 種類や従事者数について


治療院という単語に明確な定義はありません。なので頻繁にこの単語を使う人の定義になっちゃうんですが、柔整師が行う接骨院、はり師、きゅう師が行う鍼灸院、あん摩マッサージ指圧師が行うマッサージ院などを指すことが多いようです。

もう少し範囲を広げると民間資格である整体師やカイロプラクターが行う、整体院やカイロプラクティック院も含めて「治療院」と呼ぶ場合も。

国家資格者や施術所の数と推移は以下の表のとおりです

平成20年 平成22年 平成24年 平成26年 平成28年 平成30年
あん摩マッサージ指圧師 101913 104663 109309 113215 116280 118916
はり師 86208 92421 100881 108537 116507 121757
きゅう師 84629 90664 99118 106642 114048 119796
柔道整復師 43946 50428 58573 63873 68120 73017

出展元:平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

整体やカイロプラクティックは民間資格なんで正確な数字はありません。完全に僕の推測になりますが、おそらく数万人はいるんじゃないでしょうか。

それぞれの簡単な違いは

資格 施術所数(平成30年) 療養費支給対象(保険)の適応症
あん摩マッサージ指圧院 あん摩マッサージ指圧師(国家資格) 19389 筋麻痺・関節拘縮等の症状が認められる方にその症状の改善を目的として行う施術
鍼灸院 はり師・きゅう師(国家資格) 30450 神経痛・腰痛症・五十肩・リウマチ・頸腕症候群・頚椎捻挫後遺症など
接骨院(柔整師) 柔道整復師(国家資格) 50077 捻挫・打撲・挫傷・脱臼・骨折など
整体院 整体師など(民間資格) 不明 療養費の支給対象ではない

出展元:平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況

※法的なことで厳密にいうと、そもそも医師以外は治療ができないので「治療院」はちょっとまずい可能性があります。なので「施術院」が正しいのかもしれません。この件についてはこの記事の最後、まとめでお伝えします。

接骨院(整骨院)とは


接骨院とは柔道整復師(国家資格)を持った施術者が業としておこなう施術所のことをいいます。

主に捻挫・打撲・挫傷・脱臼・骨折を健康保険などを使って施術することができて、負傷原因がはっきりしない疲労などによる肩こりや腰痛は保険で施術することができません。

柔道整復師の資格と学校

養成施設に3年以上通い、その後国家試験に合格すれば柔道整復師になることができます。

養成施設は3年の専門学校の他、柔道整復学科がある4年制大学や3年制短大などがあって、通信制の学校はありません。

資格取得までの学費などの費用は400万~500万が一般的です。大学などでは期間も長くなり実習も増えますのでさらに600万以上掛かる学校もあります。けっこう高いです。

養成施設はかつては制限があり、平成10年の時点では全国に14校で定員はわずか1050名の狭き門でした。それが平成10年8月に福岡地裁の判決を受け、養成施設指定規則を満たせば新たに学校を作ることができるようになりました。

するとそこからいっきに増え平成27年には109校になり定員も8797名にまで増えました。どえらい増え方ですよね。

ちなみに合格率は平成10年は85.6%。平成27年は65.7%。

接骨院開業と資金

接骨院の開業は立地や規模、そしてコンセプトによって大きく異なります。

都市部でスタッフ数名、施術は保険施術のみという、ごくごく一般的な接骨院の場合は1000万ぐらいは必要です。そこにランニングコストなども入れると2000万は用意しておきたいところです。

でも最近では、施術者1名で物療機器もほとんど使わないといったスタイルの接骨院も増えてきています。こういった接骨院だと数百万もあれば開業できるので、どこで、どんな規模で、どんなコンセプトの接骨院を作るのかから逆算して資金準備してください。

柔整師は政策金融公庫などからの融資は比較的容易に受けられます。自己資金として3~4割は用意しておく必要がありますが、それ以外はそんなに難しくないです。商工会議所などに相談し、サポートを受けながら進めると融資も簡単になる場合があるので、それもおすすめです。

加藤が考える接骨院の現状と今後

接骨院経営は非常に厳しいと僕は考えています。その理由は

  • 柔道整復師の数が多い
  • 外傷患者さんがそれほど多くない
  • 保険の改訂などのリスクがある

先のセクションでもお伝えしましたが、柔整師はここ20年で約2.5倍になっています。にもかかわらず外傷患者さんは増えている様子はありません。療養費も減っています。

平成22年は柔道整復師の数は50438人に対し療養費は4068億円。これが平成30年には柔道整復師が73017人と増えたにもかかわらず、療養費は3278億円と逆に減っています。この数字を見るだけでもジワジワと苦しくなってきているのがわかりますよね。

この影響もあってかギリギリの保険請求をする柔整師が潜在的に多くいると僕は感じています。ギリギリとは、慢性症状の患者さんに強引に受傷転機をつけて外傷にしてしまうといったことです。もちろん一線を越えてしまっている先生も多いようです。

2020年3月に弊社で実施したアンケートでは167人の柔整師から回答を得ました。
アンケート回答結果記事はこちら
⇒ 接骨院保険診療アンケート|不正請求したことありますか?

保険請求に関する質問は以下です

  • 1度もやましいことはしたことがない・・・24人(14.5%)
  • 水増しなどの明確な違反には当たらないかもしれないがグレーな請求を行ったことがある・・・60人(36.4%)
  • 水増しや慢性を外傷と偽るなど明確な不正請求をしたことがある・・・81人(49.1%)

つまり約半数が明確な不正請求をしたことがあると回答されています。グレーな請求もあわせると約85%の方が不正、もしくはギリギリの請求を行った経験があるようです。

現時点(2021年3月)だけの状況を言えば、接骨院経営は5年以内の廃業率も低く、有望な選択であると言えるかもしれません。でもその陰には業界の構造的な問題が隠れているので、決して安泰とはいえないと僕は感じています。

参考書籍:整骨院保険診療クライシス

鍼灸院(はり師・きゅう師)とは


鍼灸院とは、はり師、きゅう師の国家資格を持った施術者が業としておこな施術所のことをいいます。「はり」と「きゅう」は別の資格ですが、ほとんどの方がが両方を持っています。まれに一方のみしか持っていない方もいるみたいですが、僕は今までにそういった先生には会ったことがないです。

神経痛・腰痛症・五十肩・リウマチ・頸腕症候群・頚椎捻挫後遺症などの症状であれば保険を使った施術が可能。ただし保険を使う場合は医師による、適当な治療手段がなく鍼灸施術を認める同意書が必要。

自費施術を行う場合は同意書は不要。また慢性痛や神経痛など幅広い症状に対応できると考えられます。(明確にどの症状が適応症だと国が示しているものが見つけられませんでした・・・教えてもらえると嬉しいです)

鍼灸師の資格と学校

養成施設に3年以上通い、その後国家試験に合格すれば鍼灸師(はり師・きゅう師)になることができます。

養成施設は柔整と同様に専門学校、短大、大学があります。その他に視覚障害を持っている方は都道府県などが運営する養成施設もあります。

資格取得までの学費などは柔整とおおむね同じで400万~500万が一般的。大学などになればもう少し増えます。都道府県などが運営する学校だとさまざまな補助制度があり、授業料や教科書代が無料になったり、交通費の補助が出たりします。

平成20年のはり師の数は86208人。平成30年では121757人。毎年4000人ほど増えています。

国家資格の合格率は直近の2020年だと合格率は73.6%(はり師)と低くはありません。

鍼灸院の開業と資金

鍼灸院の開業資金は接骨院同様に、立地や規模、そしてコンセプトによって大きく変わります。でも接骨院に比べると物療機器などを揃える院も少なく、またスタッフを雇わずに一人院としてスタートされる先生も多いので、接骨院に比べると開業に掛かる経費は低いようです。

接骨院だと1000万ぐらいは用意する先生が多いですが、500万前後で収まることが多いです。自宅開業であればもっと抑えられます。もちろん運転資金などは余裕を持って用意したほうがいいので、そできるだけそこも考えて余分に用意してください。

接骨院と同様に政策金融公庫で比較的簡単に融資を受けられるので活用される先生が多いです。

鍼灸の適応症について

厚生労働省が明確にどの症状が適応症でどの症状は適応症ではないというものを出していないのでよくわかりません。※もし厚労省が出している公的なものがあれば教えてもらえると助かります。

日本ではありませんが、米国NIH(国立衛生研究所)やWHO(世界保健機関)において討論されたり、声明が出されたりしたことはあります。

米国NIH(国立衛生研究所)コンセンサス開発会議声明

1997年3月に米国NIHで開かれた会議で以下の声明が出されました

▼有効性あり

成人の術後および化学療法の悪心および嘔吐・術後の歯痛

▼補助療法または許容可能な代替療法として有用である(可能性がある)

薬物中毒・脳卒中リハビリテーション・頭痛・月経困難症・テニス肘・線維筋痛症・筋筋膜性疼痛・変形性関節症・腰痛・手根管症候群・喘息

出展元:National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement November 3-5, 1997

WHO地域間セミナー

1979年6月に中国の北京で鍼灸に関するWHO地域間セミナーが開催されました。そのときに出された、鍼灸が効果がある疾患のリストが以下です

▼上気道
急性副鼻腔炎・急性鼻炎・感冒・急性扁桃炎

▼呼吸器系
急性気管支炎・気管支喘息

▼眼の障害
急性結膜炎・中心性網膜炎・小児の近視・合併症のない白内障

▼口の障害
歯痛・抜歯後の疼痛・歯肉炎・急性および慢性咽頭炎

▼胃腸障害
食道および噴門痙攣・しゃっくり・胃下垂・急性および慢性胃炎・胃酸過多・慢性十二指腸潰瘍(疼痛の緩和)・合併症のない急性十二指腸潰瘍・急性および慢性腸炎・急性細菌性赤痢・便秘・下痢・麻痺性イレウス

▼神経および骨格障害
頭痛および偏頭痛・三叉神経痛・顔面麻痺(初期)・脳卒中発作後の麻痺・末梢性ニューロパチー・ポリオの後遺症(初期)・メニエール病・神経因性膀胱機能障害・夜尿症・肋間神経痛・頚腕症候群・五十肩・テニス肘・坐骨神経痛・腰痛・変形性膝関節症

出展元:Bannerman RH. The World Health Organization viewpoint on acupuncture. Am J Acupunct. 1980; 8(3): 231-5.

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注意!
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ここに記載した米国NIH(国立衛生研究所)とWHO(世界保健機関)の例は、ランダム化比較試験などの臨床試験を経て示されたものではないです。つまりこれらの疾患に鍼灸が有効であると認められたののとはちょっと違うんですね。

誤解を恐れずに言うと、こういう臨床結果が出たよー。こんな論文があるよー。レベルということ。

鍼灸は効果がない! と貶めたいわけではありません。エビデンスレベルの低い声明だけを利用し「鍼灸はなんでも治る!」と喧伝している風潮が見られるので、それは鍼灸の今後のためにもならんかなぁと個人的に思っています。

加藤が考える鍼灸院の現状と今後

「鍼灸師は食えない資格だ」と嘆く声は本当に多くの先生が口にします。

たしかに柔整師が行う接骨院と鍼灸師が行う鍼灸院を比べた場合、接骨院のほうが売上げが多いように感じます。(正確な資料がみつけられなかったので加藤のこれまでの経験からの推測です)なので現状をそのまま見ると多くの鍼灸師が営面で苦しい状況にあることは事実です。

でも僕は鍼灸師がもっとも有望な資格だと感じています。その理由は

  • 鍼は鍼灸師(と医師)にしかできない
  • 適応症が多く慢性痛に対応できる
  • 論文も多く海外でも認知され需要がある

法的には柔道整復術もあん摩マッサージも資格が必要です。でもその線引きはめちゃくちゃあいまい。柔道整復と整体ってどうちがうのか、あん摩マッサージとボディケアはどうちがうのかがよくわからないため業務を独占できていません。業務独占資格であるにもかかわらずです。

それに対し鍼は民間資格でうやむやにするのは非常に難しんですね。これは柔整やあん摩に比べるとか大きく違うところ。

また柔整の保険が使える外傷は、患者も少なく通院期間も長期になりにくいので常に新規を集患する必要があります。でも鍼灸は神経痛や慢性痛などが主な適応症なので通院が頻回、長期になりやすいく、結果的に少ない新規でも経営していくことができます。

そして世界的に見ても多くの論文が発表されていて、海外でも一定の需要があるのも強みの一つです。

これらの理由からやることさえちゃんとやれば、鍼灸師はめちゃくちゃ有望な資格なんです。

鍼灸院が有望な理由についてはこちらの記事に詳しく書きました
鍼灸院経営の今後は暗いのか?

マッサージ院(あん摩マッサージ指圧師)とは


マッサージ院とはあん摩マッサージ指圧師の国家資格を持った施術者が業としておこな施術所のことをいいます。街中にたくさんある「ボディケア」や「もみほぐし」といった表現をしているリラクゼーションサロンは民間資格のセラピストが行う施術で、国家資格者が行うマッサージ院とは別物です。

関節拘縮や筋萎縮などの関節の可動域拡大や症状の改善を目的としたマッサージや、麻痺の緩和のためのマッサージは保険で対応できます。ただし鍼灸と同様医師の同意書が必要です。

自費施術を行う場合は同意書は不要。これも鍼灸と同じです。適応症も鍼灸と似ていて慢性痛や神経痛など幅広い症状に対応できると考えられます。(明確にどの症状が適応症だと国が示しているものが見つけられませんでした・・・教えてもらえると嬉しいです)

あん摩マッサージ指圧師の資格と学校

養成施設に3年以上通い、その後国家試験に合格すればあん摩マッサージ指圧師になることができます。

養成施設は鍼灸とほぼ同じで専門学校、短大、大学があります。視覚障害を持っている方は都道府県などが運営する養成施設もあります。

資格取得までの学費などは400万~500万が一般的。都道府県などが運営する学校だとさまざまな補助制度があり、授業料や教科書代が無料になったり、交通費の補助が出たりします。

あん摩マッサージ指圧師は晴眼者が入れる学校が少ないのが特徴です。

平成20年のあん摩マッサージ指圧師の数は101913人で、平成30年が118916人。柔整や鍼灸に比べると増加率は少し低いです。

マッサージ院の開業と資金

鍼灸院と同様で接骨院と比べると一人院の方が多く、開業資金も低く抑える先生が多いようです。もちろん立地や規模、コンセプトによっても変化しますが、物療機器もあまりつかわないので店舗を借りたとしても500万ぐらいまでで収まるケースが多いです。

また往診のみでされている先生も多く、その場合の開業費用はかなり低く抑えることができます。

柔整師、鍼灸師と同じように政策金融公庫で比較的簡単に融資が受けられます。

加藤が考えるあん摩マッサージ指圧院の現状と今後

あん摩マッサージ指圧院は一人院で40~50万といった売上げを作るのはそれほど難しくはありません。それなりに需要があるからです。しかし一人院でそれ以上を目指すとなると、慰安目的ではなく症状改善が目的である院ということを明確に打ち出していかないと厳しいかと考えています。

その理由は以下があげられます

  • 民間資格者のボディケアが安価で受けられる
  • 受け手のマッサージに対するイメージ
  • 広告宣伝の難しさ

もっとも大きな理由はなんといっても街中にあふれるリラクゼーションサロンの存在です。マッサージはあん摩マッサージ指圧師と医師にしかできませんが、治療目的ではないリラクゼーションなら明確な法律違反では今のところありません。

こういった背景を受け、街中には60分2980円とった安い価格帯のリラクゼーションサロンがたくさんあります。安い労働力を使って回転率をあげ利益を出すビジネスモデルなので、一人院がこれと同じ土俵で戦うのは困難です。

だから短なる慰安ではなく症状の改善を目的としなければ価格勝負になってしまうんですね。

でも症状の改善を目的をしたマッサージ院を運営しようとすると、次の壁にぶち当たります。それは一般的なイメージです。

すべてではありませんが、世間一般の認識はマッサージ=気持ちよく揉んでくれるところです。症状の改善を目指すなら、鍼灸や整体のほうが認知度が高い傾向にあります。つまりマッサージ院という屋号のまま、症状を改善を目的にするのは少し不利になるんです。

また、広告制限の問題もあります。これが鍼灸師や柔整師も同じですが、国家資格者はそれぞれ柔道整復師法の24条とあはき法の7条で定める広告の制限を受けます。

街中のリラクゼーションサロンは民間資格のためこれらの広告制限はありません。(その他の医師法や景品表示法などは守る必要があります)こういったところでも不利になってしまうので、同じ戦い方をしてもなかなか勝てないんです。

なのでマッサージ院でそれなりの月収(100万ぐらい)を目指すなら、症状の改善を目的として院を作るか、もしくはスタッフを雇用して数をこなしていくかがポイントになると僕は思います。

整体院(整体師)とは


整体院とはいわゆる「整体師」が運営する施術院のことです。整体師は柔道整復師、鍼灸師、マッサージ師のような国家資格ではなく民間資格です。

そのため、柔道整復師法やあはき法などのような法律はなく、民間資格を取得せずとも誰でも今日から整体院を始めることができます。保健所に届け出る義務もありません。

また整体には体系化された統一の定義はありません。もともとは大正時代にカイロプラクティックやオステオパシーなどを改良する形で発展した手技だと言われていて、脊椎矯正をおこなうことが多いです。

民間資格のため施術費はすべて自費です。保険は適用されません。

整体師の資格と学校

前述したように整体師は民間資格です。なので国が定めたカリキュラムも存在せず、専門学校ごとに独自のプログラムを組んでいます。

期間や費用には大きく差があり、通信講座や数日程度の講習で数万円で資格取得できるものから、数年間で数百万といった学校までさまざまな専門学校があります。

また整体ではありませんが、カイロプラクティックはアメリカやオーストラリアで体系的にまとめられた理論と資格制度があります。日本人でも海外で資格取得をされて日本でカイロプラクティック院を開業されている先生はいらっしゃます。しかし残念ながら日本にはカイロプラクティックの法律がないため、こういった先生も日本で開業する場合はすべて民間資格の施術院と同じ扱いです。

整体師の人数は正確なデータがないので全然わかりません。どこまでを整体師に含めるかもあいまいですが、整体師やカイロプラクターで5万人ぐらいはいるのではないかと感じています。

整体院の開業と資金

国家資格が必要な接骨院や鍼灸院などと同じように、開業資金は立地やコンセプトによって大きくことなります。

整体は他と比べるとその言葉が指す範囲があいまいで広いので、開業資金の幅も大きいです。ただ、保険診療メインの接骨院などが揃える物療機器はあまり使わない整体院がほとんどなので、その分開業資金は安く済むことが多いようです。500万~600万ぐらいが相場ではないでしょうか。

事業計画と自己資本されあれば民間資格だからといって融資が下りないということはありません。整体院も政策金融公庫にまずは相談してみましょう。

加藤が考える整体院の現状と今後

整体院は開業も経営もとてもやりやすいです。看板さえ出していればたくさん患者さんが来るという意味ではありませんが、しっかり宣伝して一定のリピート対策さえすれば経営はうまくいきやすいです。

また業務の拡大もスタッフの確保が比較的容易にできるので、国家資格が必要な接骨院や鍼灸院などに比べると拡大もしやすい業種だといえます。やろうと思えば完全な素人を自院で研修して整体師にしてしまうことも可能です。

実際に整体院やリラクゼーションサロンは全国展開するような大手チェーン店が出てきています。

他のセクションでも書きましたが広告の制限がないのも大きいです。

たとえばチラシを配布しようと思っても国家資格が必要な治療院の場合は値段すら記載できません。しかし整体院なら施術料金はもちろんのこと、自院の特徴や違いなど訴求力のあるチラシを配布することができます。

これを書いている2021年3月の時点ではまだ接骨院や鍼灸院などのホームページは広告ではなう広報扱いとなっています。だからまだ値段など記載し訴求力の高いサイト作成ができます。しかし、厚生労働省では治療院も広告ガイドラインを作るための検討会が開かれています。(コロナで止まっているみたいですが)

いったんはこれまでのようにホームページは広報ということで落ち着きそうですが、10年後にはどうなっているかわかりません。現に医療の分野では新しく医療広告ガイドラインができてホームページは広告と同等の扱いになっています。

治療院はこれまで広告に関しても医療のものを踏襲してきましたので、5年~7年後には治療院にもこの流れが来るかもしれません。

もしそうなったとき、あはき法や柔整法に縛られる国家資格者の治療院よりも、取り締まる法律のない整体院のほうが動きやすくなる可能性は十分にあります。

国家資格を持っていないほうが得をするというのはなんともやるせないですが、現状はこうなっています。一般の方も接骨院と整体院の違いはあまりよくわかっていません。

これらを総合的に見て整体院は開業も経営もしやすい施術院だと僕は考えています。

まとめ


この記事のタイトルにも使用している「治療院」という単語、実はこれって好ましくないと言われています。治療は医師しかできないという考えが根底にあるからです。

もちろんこれにはさまざまな反論があります。

接骨院や鍼灸院などでおこなっているのは限定医行為なんだから治療という言葉を使っても問題ないはずだ! とか現に〇〇治療院という屋号が認められている事実があるんだから、治療はできませんは無理があるだろう!といった意見などです。

ここは僕がジャッジする問題ではないので、どっちが正しいかは書けません。しかし少なくとも厚生労働省は治療という言葉は医師以外は使って欲しくないんだろうなというのは感じます。なので今はどうしても使いたいなら「鍼灸治療」といったように治療という言葉を単独で使わなければギリギリOKやでといったスタンスでいるようです。これも統一見解ではありませんが。

さて、言葉ひとつとってもはっきりしない治療院業界、この記事で書いたようにその他のことも未だにややこしい問題が多いです。

完全に僕の考えですが、ほとんどの接骨院は保険診療では食べていけません。食べていけるとしたらそれは不正やグレーな請求を行ったときです。

リラクゼーションサロンで行っているもみほぐしはどうみてもマッサージですが、もう完全に野放しといっていい状態です。経済産業省は産業分類にリラクゼーション業を入れちゃっています。

国家資格者が広告制限のせいで経営難に陥り、民間資格はなんの制限もなく広告をバンバン出して潤っているのも事実です。

全部いっぺんにとはいかないとは思いますが、制度的な見直しも含めて、治療家がもっと健全に活躍できる環境作りが整っていくといいなと感じています。

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