治療院の問診は解釈モデルが重要

治療院の問診はめちゃくちゃ大事です。この問診をする際に、意識しておくと患者さんとの信頼関係をより強固なものにして、よりやりがいのある治療院経営にするためにもっておくべき考え方についてお伝えします。

先にお伝えしておくと、今回の記事で書かれていることができていなくても問題なく繁盛している院はたくさんあります。なので僕の好みみたいなものが多分に含まれている記事です。それでもOKならこのまま先を読み進めてください

治療院の患者さんは自分専用のセンサーを持っている


「患者は素人だから身体のことをわかっていない」みたいな発言を聞いたことありません?治療家にもこういった人はけっこういるし、治療院コンサルタントと呼ばれる人にもこの手の人は多い。これね、正解の部分もあるっちゃああるんだろうけども、一歩間違うとけっこう危険だと僕は思っています

確かに患者さんは病気のことや体に関することは、素人である確率は高いです。でもそれは、解剖学的な知識がないとかそういった意味での素人という意味なんですね。そこは確かに多くの患者さんは素人だったり、間違った知識を持っていたりします。

でも、患者さん自身が自分の体に関するセンサーというか捉え方なんかは、わかってないなんてことは全然ないんですね。つまり誰よりも敏感に感じていることが多いんですよ

例えば、僕は疲れてくるとすぐ扁桃腺が腫れるんです。で、そうなったときはなにもせずにとっとと寝て、ゆっくりするとだいたい治る。でもそこで無理すると扁桃腺炎になって高熱にうなされて何日も寝込んだりする。あれ、めっちゃしんどいんですよ。

こういうのってあなたも持っていませんか?俺は疲れるとすぐ◯◯に症状が出てくるといった身体の癖みたいなのが。一般的には当てはまらないかもしれないけども、自分ではわかってることが。これ以上無理したらアカンぞって線とか、いつもと違うなって感覚。

多くの人がこういった自分だけがわかる感じ方ってのも持っていると言われています。つまり、理屈や医学用語はわかってないかもしれへんけども、自分の体の変化とか特徴は誰よりもわかっているんですね

もちろんこれがいつなんどきも大正解ってわけじゃないけども、そこそこ当たってるもんなんですよ。だからこの2つは区別せにゃいかんのです。2つというのは、病気とか解剖学的な知識と、自分自身の体に関する自分のセンサーの2つです

「全部聞くから話してください」が大事


これまで書いたように、医学知識的な理解と、患者さん自身が自分の身体に関することの理解、この2つは区別せにゃいかんのに、残念ながらいっしょくたにして「患者さんは素人だからわかってない。だから治療家が命令すりゃええんじゃ!」みたいな極端な考え方になってしまっている人がけっこういます

そしてこの考え方っていうのは、患者さんとの信頼関係を築く上で問題になることが多い

じゃあどう区別するのかというと、区別というよりはまずは考え方や姿勢になるんですけども、患者さんは素人かもしれない。でも自分の体に関する微妙な違いには敏感なことが多い。だから、素人だから聞かなくていい。とか、素人だから黙っとけ。なんて思っちゃいけないし、ましてやそんな言動は絶対に慎まないといけないという姿勢を持つのが大事です

患者さんに対しては「あなた自身が感じていることを全部聞くから、私に話してください」という姿勢で常に臨んだほうがいいということですね。決して「アンタは素人なんだから黙っとけ」ってな姿勢や考えで臨んじゃダメなんです。

解釈モデルを話してもらう


では、考え方だけではなく実際に患者さんになにを聞くのか?というと、解釈モデルです。解釈モデルとは患者さんが病気(痛みや不調)に対して持つ

  • 原因はなにか
  • なぜ発症したのか
  • どの程度重たいのか
  • 経緯や過去は
  • どれぐらい治ると考えているのか
  • 病気の影響はなにか(不安や心配事)
  • どんな治療が必要と考えているか

などの自らの考えのことを指します。これを患者さんに話してもらうんですね。患者さんがわざわざあなたの治療院に来るのは、当たり前ですがちゃんと理由があります。その理由の部分と言ってもいいかもしれません。

あなたの院を訪れる患者さんの頭の中はこんな感じのことを考えているかもしれません

股関節がめちゃくちゃ痛い。長い距離は歩けないし、たまにビリっと激痛が走ることもある。病院には行ったけども検査しても大きな異常はないからとほぼなにもしてくれない。立ち仕事だからそれが良くないのか、それとも職場は冷えるからそれも問題かもしれない。でも足を組む癖もあるし、たまにそれで痛みが酷くなることもあるし、それも関係しているのかも。母も膝痛だし祖父も足が痛いと言っているので、そういう遺伝とかかも。そういえば10年前にぎっくり腰をしてから股関節も痛みだしたし、それもなにか関係あるのかな?病院では異常ないって言われたから、そこまで重症ではないと思いたいけども、これだけ痛みが続くからにはなにか原因があって、そこそこ重症なんじゃないだろうか?今はまだ仕事ができているからいいけども、これ以上ひどくなったらさすがに困る。仕事を休まないとダメだし、最悪転職とかも考えないといけないかも。半年以上痛いし、すぐには治らないだろうけども、何ヶ月も掛かるかもしれない。でも治さないと本当に困るのでなんとかしたい。せめてなにか原因か知りたい。そうしないと不安。痛みをなんとかしたいのが最優先だけど、こんなに不安になるのはもう嫌だからちゃんと治して心配しない毎日を取り戻したい。

 

もちろんなにを考えているのかは、人それぞれです。もっと複雑にたくさんのことを考えている患者さんだってたくさんいると思います。あなたがすべきことは、これらをしっかり話してもらい、整理して共有することです。

患者さんに「解釈モデル話して」なんて言ってももちろんなんのことかさっぱりわかりません。たった一言なにかを聞けばこれら全部を話してくれるなんていう便利なセリフもありません。だから質問しながら患者さんの頭の中にあるこれらの考え、思い、感情を引き出していくんですね

難しいっちゃあ難しいです。でもこれができると患者さんは「この先生は全て聞いてくれた。私のことを全部理解してくれた」という気持ちになり、それが信頼へとつながっていくんです。

これが解釈モデルを話してもらう、「全部聞くから話してください」という姿勢です。

解釈モデルを話してもらうメリット


患者さんが持つ解釈モデルを話してもらい、信頼関係が築けると

  • 治療家(あなた)の説明や提案を受け入れてくれやすくなる
  • 治療を自分事、治療家と自分の共同作業と認識してくれやすくなる

この2つのことが起こります

あなたは患者さんの体の状態を確認し、どんな施術を、どんな目的で、どれぐらいの期間や回数行うのかを決定するはずです。そこまで細かく決まらなくても、なんらかの指針を患者さんに説明するはずです。なんにも説明せずに施術だけして、なんにも説明せずにそのまま帰すなんてことはしないですよね。

では、その説明や通院計画の提案などをするとき、「この先生は全て聞いてくれた。私のことを全部理解してくれた」という状態にある場合と、「なんにも聞いてくれていないし、わかってくれてもいない。大丈夫かなこの先生」という状態にある場合、どっちがしっかり説明を聞いてくれるのか、提案を受け入れてくれやすいのかは、明白です

また、解釈モデルを話すことが問題を共有することになるので、治療そのものに患者さん自身も参加している感覚になりやすいんですね。つまりより自分事として捉えてくれるため、それが改善まで粘り強く通院してくれるモチベーションになります

自分のことを理解して真摯に向き合ってくれる信頼できる先生が治療してくれる。しかも患者さん自身も治療に対して前向き。この状態を作れるのが最大のメリットです

実際の治療院現場では・・・


解釈モデルの話は、一部の先生からはあまり受け入れてもらえません。そんなまどろっこしいことしてられへん!って考えの先生もいるし、それこそ冒頭でお伝えしたように「患者は素人やから黙っとれ」的な考えが強い先生もいらっしゃいます。

そして実は「患者は素人やから黙っとれ」的な先生の院は普通に繁盛してたりもするんですね、実際のところは。なぜかというと、先生という立場でバシっと自信を持って言い切ってくれる態度が信頼できる、安心できると感じる患者さんも多いからです。

だから今回の記事で書いたことができていなくても、すぐに治療院が潰れちゃうとかそういったことはないです。なんの問題もなく経営していくことだってできる

でもね、解釈モデルをしっかり話してもらうほうが、長い目で見た場合、治療院がより繁栄すると考えています。理由はひとつ前のセクションで話したメリットが働くからです。

そしてそもそも治療院ってそういうところじゃないの?治療家ってそうあるべきじゃないの?ってな僕の考えが強いです

冒頭でお伝えしたとおり僕の好みの部分が多いんですけども、僕としては解釈モデルをしっかり引き出してくれて、患者さんにしっかり寄り添ってくれる治療家がたくさん増えるといいなと感じています。

ということで共感した方は是非今回の記事を参考にしてみてください。

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