整骨院の集客方法|患者が来ない原因と自費の新規を集める5つの順番

整骨院の集客がうまくいかないのは、あなたの腕が落ちたからではありません。保険が使える患者さんがそもそも少なく、広告で書けることも少なく、そのうえで院の数は多い。この3つが重なっているからです。そしてもう一つ、保険の患者さんを集める集客と、自費の患者さんを集める集客は別物です。ここを分けずに「集客方法12選」のような記事を読んでも、何から手をつけるかは決まりません。

僕はもともと整体院とリラクゼーションサロンを経営していて、今は治療院のコンサルタントをしています。接骨院のクライアントも長く見てきましたし、保険中心から自費に軸足を移した先生も、移してうまくいかなかった先生も知っています。2023年に書いた記事を、2025年2月に出た広告ガイドラインと今の制度に合わせて、2026年10月に全面的に書き直しました。この記事は、保険に頼らず自費の新規患者さんを集めたい一人整骨院の先生に向けて、順番を書きます。

整骨院の集客が難しいのは、保険の患者さんが少ないのに、広告で書けることも少ないからです

僕に言われなくても柔整師の先生なら体で分かっていることだと思いますが、最初に理由を3つに分けておきます。理由が分かれば、何から手をつけるかが決まるからです。

一つ目は、保険が使える患者さんが少ないことです。療養費の対象は骨折・脱臼・打撲・捻挫で、慢性の肩こりや腰痛は対象外です。厚生労働省が2024年10月分の支給申請書を抽出して分析した資料では、傷病名の99%以上が捻挫と打撲で、受療者の年齢はいちばん多いのが70代でした。そして、急にけがをした人の多くは整形外科に行きます。整骨院に急性外傷で来る人は、そもそも多くないんですね。

二つ目は、広告で書けることが少ないことです。柔道整復師法の第24条と、それを受けた厚生省の告示で、チラシや看板に書けるのは、柔道整復師である旨と氏名と住所、施術所の名称・電話番号・所在地、施術日と施術時間、ほねつぎ(または接骨)、開設の届出をした旨、療養費の支給申請ができる旨、予約・休日や夜間・出張の施術、駐車設備に関することだけです。症状名も料金も特徴も患者さんの声も書けません。整体院のチラシには全部書けるのに、整骨院のチラシには院名と電話番号と地図くらいしか載せられない。新規を集める道具が、最初から一つ少ないんです。

三つ目は、院の数です。厚生労働省の衛生行政報告例では、柔道整復の施術所は2024年末で50,924か所、働いている柔道整復師は78,666人です。10年で施術所は約12%、柔道整復師は約23%増えました。その一方で、柔道整復療養費の総額は2014年度の3,825億円から2022年度の2,747億円へ、8年で約28%減っています。保険のパイは縮んで、分け合う人は増えています。

そのうえに、患者さん側の「整骨院は保険が効いて安いところ」というイメージがあります。「地域名 整骨院」で検索する人の中には、安く体をみてもらいたい人が少なからず混ざっています。看板を見て入ってきた慢性の肩こりの患者さんに「それは保険が使えません」と伝えると、「じゃあええわ」と帰ってしまう。真面目に制度を守るほど、新規が売上にならないという構造です。

だから僕のスタンスは、保険のみの整骨院で食べていく道はもうない、というものです。制度と療養費の数字は整骨院の経営が厳しい本当の理由|2026年7月改定で保険はもう限界に、閉じる院の数は整骨院の廃業率は?公的データはないが一次資料で見える3つの事実に書いたので、この記事では集客だけを扱います。

「患者さんが来ない」は、新規が少ないのか、2回目が続かないのかに分けてから考えます

集客の話に入る前に、一つだけ確認してほしいことがあります。「患者さんが来ない」の中身です。直近3か月の来院記録を、新患の数と、2回目・3回目以降の数に分けてみてください。

僕の感覚で言うと、自費の一人院で新規が月に10人来ているのに月商が40〜50万円なら、足りないのは集客ではなくリピートです。逆に新規が月に2〜3人で月商60〜70万円なら、リピートはできていて、新規の数が足りていません。この二つは打ち手が全く違います。前者が集客にお金を使うと、穴のあいたバケツに水を注ぐことになるんですね。

この記事は新規の側の話です。2回目が続かない院は、整体院のリピート率の平均・目安は?と治療院のリピート対策はこの3つを意識するのほうを先に読んでください。

集客の前に決めること。あなたの整骨院は、どの患者さんを集めたいのか

整骨院の集客が他の治療院と違うのは、「どの患者さんを集めるか」を先に決めないと、集客の設計ができないことです。整骨院の運営は、大きく4つに分かれます。

整骨院の集客の前に決める4つの型

  1. 外傷の患者さんを保険でみる、保険のみの整骨院
  2. 慢性の症状も保険で対応する、保険中心の整骨院
  3. 外傷は保険で、慢性は自費でみる、両立型の整骨院
  4. 保険は使わない、自費のみの整骨院

一つ目の院が集客で狙うのは「地域名 整骨院」の検索と、保険で対応できる外傷の症状ページです。政令指定都市でなければ、1ページ目に出すことは多くの地域でできます。ただ、1ページ目に出たからといって保険の患者さんが大勢来るわけではなくて、実際に来るのは「肩もんで」「腰がだるい」という慢性の人が多いんですね。断るばかりで売上が伸びない。保険のみの院が抱える問題はここです。

二つ目の院は、集客のやり方としては一つ目と同じで、症状ページが外傷でなくてよいだけ違います。ただ、慢性の症状を外傷として請求する形は制度上できないことで、2026年7月の改定でも多部位と長期を締める方向に動いています。この形で集客を伸ばすことは、僕はすすめません。

三つ目の両立型が、いちばん多いと思います。この型の先生がホームページに保険と自費を同じ重さで並べると、自費はまず売れません。保険の患者さんが来て「それは保険が使えないので自費になります」と説明して納得してもらうのは難しいし、仮に受けてくれても続かないことが多い。そして料金です。保険の窓口負担と自費の料金では、場合によって10倍近い差が出ます。並べて見せれば、自費はめちゃくちゃ高く見えます。両立型でも、ホームページは自費か保険か、どちらかに軸足を置いてください。自費が基本で、場合によっては保険も使えます、という書き方です。僕なら保険と自費でホームページを分けます。比較されないほうがやりやすいからです。

四つ目の自費のみの院は、保険のことを書く必要がありません。代わりに、ターゲットの設定が全部です。少し高くても、少し遠くても受けたいと思ってもらう理由を作らないと、整体院との区別が患者さんにはつきません。ここで一つ、言いにくいことを書いておきます。自費の患者さんをホームページで集めるという観点だけで言えば、「整骨院」という屋号は有利には働きません。整骨院は保険が効いて安いところ、という認識が強いからです。実際、接骨院なのに整体院の屋号でホームページを作っている院はたくさんあって、僕はそれで保健所から注意を受けた話をまだ聞いたことがありません。もちろん、厳密には構造設備の要件など法律の面をクリアする必要がある話なので、ここでは「そういう現状がある」とだけ書いておきます。

ここから先は、三つ目か四つ目の先生、つまり自費の新規を集めたい先生に向けて書きます。保険の患者さんは、看板と紹介で来る分で十分だと僕は考えています。

整骨院の集客で「書ける場所」と「書けない場所」を、先に押さえます

自費の集客でやることは、突き詰めれば一つです。あなたの院がどう違うのかを言葉にして、書ける場所に書く。だから最初に、どこが書ける場所でどこが書けない場所かを押さえておきます。

2025年2月18日に厚生労働省が「あはき・柔整広告ガイドライン」を出しました。広告に当たるかどうかは、患者さんを誘引する意図があること(誘引性)、施術者や施術所の名称が特定できること(特定性)、一般の人が認知できる状態にあること(認知性)の3つを全部満たすかで判断します。そして、自分で検索したりURLを入力したりして見るウェブサイトは認知性を満たさないので、原則として広告には当たらない、と明記されました。柔道整復師法第24条の広告制限は、ホームページには原則かからないということです。9年前に接骨院の本を書いたときにははっきりしていなかったことが、今は国の文書に書いてあります。

ただし例外があります。バナー広告、検索結果のスポンサー表示や費用を払って上位に出した検索結果、リスティング広告、動画広告、掲載料を払っている口コミサイトやランキングサイト、施術所紹介サイトの有料の紹介ページは広告です。SNSの書き込みも、公開範囲を絞っていても広告として扱われ得ます。そして見落とされがちなのがここで、広告からリンクしている自院のホームページも、広告と一体の関係にあるとして広告側で扱われます。広告を出した途端に、規制の外にあったはずの自分のサイトが規制の中に引っ張られる、ということです。

媒体 広告規制 書けること
自院のホームページ 原則として対象外 施術の内容・考え方・料金・プロフィールまで書ける。ガイドラインが掲載すべきとする事項(問い合わせ先、施術内容と費用の範囲、主なリスクや副作用)は載せる。治ると言い切る表現や加工した写真は載せない
Googleビジネスプロフィール 名指しの規定なし 僕は説明文や投稿は原則広告に当たらないと考えて書いている。空欄にしない。治る・効くの断定は書かない
チラシ・看板・院外の表示・DM 対象 第24条と告示の項目だけ。症状名・料金・特徴・経歴・患者さんの声は書けない
リスティング広告・バナー・動画広告・有料のポータル紹介ページ・SNSの書き込み 対象 同じ項目だけ。広告からリンクした自院サイトも一体で扱われる

規制の対象外だから何を書いてもいい、という話でもありません。ガイドラインは、ウェブサイトに載せるべきでない表現も例を挙げています。「絶対に治る」「どこへ行っても治らなかった方へ」「根本治療」「〇〇を解決します」「満足度〇%」「たった1回で効果を実感」、そして加工や修正をした施術前後の写真です。守らなくてもすぐに罰則があるものではありませんが、この手の表現は景品表示法にも触れやすいので、僕はガイドラインとは別に守ったほうがいいと思っています。ちなみに大手がよく使う「根本改善」も、僕はすすめません。言い換えただけの言葉だし、使い倒された言葉なので違いが出ないからです。

個別の掲載内容が広告に当たるかどうかを最後に判断するのは行政なので、迷ったら管轄の保健所に聞いてください。媒体ごとの線引きと、広告を出すとホームページまで規制に入る話、違反したときの流れは、整骨院の広告規制|2025年ガイドラインで書ける場所・書けない場所に詳しく書きました。ここまでが前提で、ここからが集客の順番です。

一人整骨院が自費の新規を集める順番は「軸→ホームページ→Google→紹介→広告」です

集客の手段を並べた記事はたくさんあります。チラシ、SNS、MEO、SEO、広告、ポータル、紹介。全部やれと書いてあるものが多いですが、一人でやっている院に全部は無理です。だから順番が要ります。

一人整骨院が自費の新規を集める5つの順番

  1. 院の軸を決める。誰が・どんな施術を・どんな場所で/誰にぴったりか/どうなれるか
  2. ホームページを自費に軸足を置いて書き直し、症状ページを増やす
  3. Googleビジネスプロフィールを自分で整える
  4. 今いる患者さんに自費を伝え、紹介が起きる土台を作る
  5. それでも足りなければ、広告とポータルを数字で試す

1から4までは、お金がほとんどかかりません。かかるのは時間だけです。そして5の広告は、1と2ができていないと費用だけが出ていきます。順番に書いていきますね。

順番1:院の軸を決める。「地域密着20年」「保険が使えます」は、違いではなく条件です

軸はコンセプトと言い換えてもかまいません。言葉にするのは3つだけです。

  1. 当院はこんな整骨院です(誰が・どんな施術を・どんな場所で)
  2. だからこんな人にぴったりです
  3. するとこんなふうになれます

保険中心でやってきた先生がこれを書こうとすると、最初に出てくるのはたいてい「地域密着で20年」「各種保険が使えます」「駅から徒歩3分」です。これは違いではなく条件なんですね。近所の同業と入れ替えても文章が成立するなら、違いになっていません。

例を一つ出します。一つ目は「1回40分の予約制で1日6人まで。立ち仕事を続けてきた方の腰と長く付き合ってきた院です」くらいまで具体的に書く。二つ目は「痛みが出るたびに駆け込むのではなく、仕事を休まずに済む状態を保っておきたい方」というふうに、事情まで入れて書く。三つ目の「どうなれるか」は、いちばん筆が滑るところです。「〇〇が治ります」と書いた瞬間に、さっきの書くべきでない言葉の側に入ります。書くのは結果の約束ではなく、その人が取り戻したい場面のほうです。「荷物を持つ日の前と後に予定を組めるように、通い方を一緒に決めていきます」。この程度で十分に伝わります。

軸の3つの考え方は、鍼灸院向けに鍼灸院の集客方法|広告制限の中で一人院が新規を集める5つの順番で詳しく書きました。業態は違っても中身は同じなので、そちらも読んでください。

順番2:ホームページは、整骨院が症状と料金をまともに書ける唯一の媒体です

軸が決まったら、ホームページです。整骨院にとってホームページが特別なのは、さっき書いたとおり、法律の扱いが他の媒体と違うからです。施術の内容も、考え方も、料金も書けます。むしろガイドラインは、自費の施術をするなら、費用の範囲や標準的な回数、主なリスクまで情報を出しなさい、という側に立っています。

書く中身は、順番1の軸の3つをそのまま詳しく書くのが基本です。そのうえで、今すぐ予約したい人が迷わない導線を作ります。ホームページの成約率は、よくて1〜2%です。100人見てくれて予約するのは1〜2人。その1人が、電話番号が見つからない、料金がどこにあるか分からない、で離れるのは最悪です。スマホで見たときに、予約方法・料金・場所・院長プロフィールがすぐに目に入るようにしてください。

症状ページは1症状1ページで増やします。腰痛、ぎっくり腰、肩の痛み、膝の痛み。あなたが自費で診たい症状から作っていきます。料金は、1回いくらだけでなく、軽い人なら何回でいくら、重い人なら何回でいくら、と総額の目安まで書く。それで離れる人は出ますが、安さを探している人が離れて、本気で治したい人が残る方向に働きます。症状ページの構成と書き方は鍼灸院の集客方法の順番2に書いたので、そこは繰り返しません。

整骨院のホームページで気をつけるのは、保険の扱いです。両立型の先生は、トップページで保険と自費を同じ重さで並べないでください。自費が基本で、保険が使える場合は使えます、と書く。自費の症状ページには保険のことを書かず、比較の材料を置かない。もう一つ、「地域名 整骨院」で来る人には安さを探す人が混ざるので、自費の新規は「地域名 症状名」の検索で来る人を取りに行くほうが合います。症状ページを増やすのは、そのためです。

ホームページを業者に作ってもらっていて自分では触れない、という先生も多いと思います。その場合は、まず毎月払っている業者に、文章の差し替えは今の料金に含まれるのかを聞いてください。含まれているなら、書いた原稿を渡すだけです。含まれていないなら、そのページぶんの見積もりを取る。作り直すかどうかは、そのあとで考えれば間に合います。SEOの考え方と業者に頼むときの条件は治療院のSEO対策にまとめてあります。

整骨院のホームページの症状ページを書く院長

順番3:Googleビジネスプロフィールは、自分で整える。業者に払うのは半年やってからです

ホームページの次は、Googleビジネスプロフィール(Googleマップに出る院の情報)です。「地域名 整骨院」で検索した人の多くは、地図に出た数件を見ます。ここに出るかどうかで、ホームページを見てもらえる数が変わります。

やることは、登録を自分でして、営業時間と写真と説明文を埋めて、口コミを集め、来た口コミに返信することです。説明文を空欄にしている整骨院が多いですが、僕はGoogleビジネスプロフィールの説明文や投稿は、柔道整復師法の広告には原則当たらないと考えて書いています。保健所から言われたら、そのときに直せばいいです。業者に月額を払う前に、まず半年は自分でやってください。15年近く見てきて、まともなMEO業者を一件も見たことがないからです。手順は治療院のMEO対策に、口コミの集め方は治療院の口コミを増やす方法に書いています。口コミは、内容を指定したり、その場で書いてもらったりするとGoogleのポリシー違反になるので、そこだけ気をつけてください。

順番4:新規より先に、今いる患者さんに自費を伝えます。紹介は法律的に一番白い集客です

ここは整骨院に特有の順番です。自費の新規を外から集める前に、今あなたの院に保険で通っている患者さんに、自費のメニューがあることを伝えてください。長く通ってくれている患者さんは、あなたの説明を聞いてくれる人です。外から来る新規より、受けてくれる可能性は高いんですね。保険中心の院で自費を提案する考え方は保険中心の接骨院で自費治療を高単価で売る方法に書いています。

ただし、数百円の窓口負担で通ってこられた方に、来月から数千円ですと伝えて、全員が続けてくれるわけではありません。自費で失敗する典型は、ターゲットを変えないまま値段だけを上げることです。悪いのは金額ではなく、その金額を払ってでも受けたい人に向けて院が組み替えられていないことなんですね。だから順番1の軸が先に要ります。

そして紹介です。ガイドラインの広告の定義は3つの要件を全部満たすことなので、患者さんが自分の意思で知人にすすめる紹介は、そもそも広告に当たりません。整骨院にとって、法律的に一番白い集客です。今は、紹介された人も院の名前で検索して、ホームページを見てから決めます。紹介が生命線だという先生ほど、順番2が効くのはそのためです。

順番5:広告とポータルは、1から4ができてから。続けるかは1人あたりの費用で決めます

ここまでやって新規が足りないときに、検索連動型の広告とポータルサイトがあります。ただ、順番が最後なのには理由があります。

一つは法律です。検索広告は広告なので、第24条と告示の項目に縛られますし、広告からリンクした自院のホームページも一体で扱われます。広告文だけを整えても足りないということです。業者に任せるなら、この一体扱いを先方が知っているかを最初に聞いてください。第24条の広告制限は「何人も」が対象なので、広告を出す院だけの話ではありません。丸投げすれば自分が外れる、という話でもないんですね。

もう一つは、お金が合うかどうかです。1人の新規を集めるのにかかった費用(顧客獲得単価)と、その患者さんが院で使ってくれる合計金額の差が、あなたの利益です。保険の患者さんは単価が低く、外傷は長期・頻回になりにくいので、1人の獲得に1万円、2万円かかる広告はペイしにくい。自費なら単価も通院の設計も自分で決められるので、広告と相性がいいです。僕が広告に使うお金の目安にしているのは、売上の1割くらいです。これは僕の経験則で、業界の統計ではありません。今それが出せないなら、出さなくていいです。

ポータルサイトは、エキテンや接骨院の紹介サイトなど、「地域名 整骨院」で検索したときに上に出てくるものを無料で登録しておき、有料プランは1回だけ試す、で十分です。続けるかどうかは、有料の月額をその月に来た新規の数で割って決めます。月額5,000円で2人来れば1人2,500円。1人来れば月額がペイするなら続ける価値があります。逆に、1人集客しても有料の費用がペイしないなら、それは広告の問題ではなくリピートの問題です。ホットペッパービューティーに載せるかどうかは整体院のホットペッパー集客は割に合う?で書いた5つの基準がそのまま使えます。

最後に、やらないことを一つだけ。初回割引です。検索して、ホームページを読んで、それで来てくれる人に、割引で背中を押す必要はありません。安さで動く人が混ざると、2回目からの説明が一気に難しくなるからです。代わりに置くのは、来る前に判断できる材料です。誰のための院なのか、初回に何をするのか、いくらかかるのか、どれくらいの期間と回数を見ておけばいいのか。ガイドラインが載せなさいと言っている項目は、そのまま、迷っている人が決めるための材料になるんですね。

看板とチラシは、整骨院ではどう扱えばいいのか

集客の順番に看板とチラシが入っていないことに、気づいた先生もいると思います。扱いを書いておきます。

看板は、認知のために要ります。ただ、書けるのは院名、ほねつぎ、予約制、駐車場といった項目だけで、多くの整骨院が書いている「各種保険取扱い」も、厳密には告示の文言とは違います。そして看板を見て入ってくる人は、慢性の肩こりや腰痛の人が多い。保険は使えませんと伝えると帰ってしまう人が出るのは、冒頭に書いたとおりです。目立つ看板は出す、でも看板で自費の新規が集まるとは考えない。この距離感でいいと思います。看板の考え方は治療院のA型看板やブラックボードにはなにを書けばいいかに書いています。

チラシは、率直に書きます。柔道整復師法第24条を守ったチラシで、法律違反をまったくせずに新規が集まったという例を、僕はこれまで見たことも聞いたこともありません。院名と電話番号と地図と「予約優先」だけのチラシで集客できないのは、やる前から分かります。

実態も書いておきます。だから多くの整骨院は、整体院の名前でチラシを作って配っています。接骨院の中に整体院を併設した形にして配る院もあれば、整体院を作ってもいないのにチラシにだけ整体院と書く院もあります。後者は違法です。それでも保健所の指導が入ることはほとんどなく、注意が来るのはたいてい同業からの通報です。僕はこのやり方をすすめているわけではなくて、クライアントには、チラシを配りたいなら整体院を別に作って法的な要件を整えてからにしましょう、と言っています。ただ、そこまでやっている先生がほとんどいないのも、現状です。関係する法律と使い方は広告制限がある国家資格者のチラシ集客に書いています。

どこまで白に寄せるかは、最終的にあなたが線を引くしかありません。僕がすすめるのは、まず白い順番で土台を作ることです。ホームページとGoogleビジネスプロフィールと紹介で新規が来る土台があれば、チラシも広告も、足しても減らしても院は揺れません。

保険中心で月商50万円だった接骨院は、自費に軸足を移して1年で200万円になりました

最後に、クライアントの話を二つだけ書きます。一人は、保険中心で月商50万円ほどだった接骨院の先生です。保険の院に自費を少し足したのではなく、自費を柱にした院に組み替えて、1年後には月商200万円ほどになりました。技術が足りなかったわけではなく、誰のための院かと、それをどこに書くかが変わった結果だと僕は見ています。

もう一人は、自費に移行した直後に、売上が以前の何分の一にまで落ちた接骨院の先生です。この先生は、そこから1年かけて月商100万円を超えるところまで戻しました。落ちた理由は、僕の見立てでは順番です。自費の新規を集める仕組みと、自費でも通ってもらえる問診と説明ができる前に、保険をやめてしまった。順番を飛ばすと、こうなります。

もちろん、僕の塾に来ても変わらなかった先生もいます。やれば変わる可能性はあるけれど、やらなければ変わらない、も本当です。それでも、開業しているあなたには、院の軸を決め直す権限があります。

この記事の要点

  • 整骨院の集客が難しいのは、保険が使える患者さんが少ない(傷病名の99%が捻挫・打撲、受療者は70代が最多)、広告で書けることが少ない(第24条と告示の項目だけ)、院は増えて療養費は8年で28%減った、の3つが重なるから
  • 「患者さんが来ない」は、新患の数と2回目以降の数に分けてから考える。新規が来ていて月商が低いなら、先に直すのはリピート
  • 整骨院は「どの患者さんを集めるか」を先に決める。両立型でもホームページは自費か保険のどちらかに軸足を置く。並べると自費は売れない
  • 2025年2月のガイドラインで、ホームページは原則「広告に当たらない」。チラシ・看板・リスティング広告・有料のポータル紹介ページは広告で、広告からリンクした自院サイトも一体で扱われる
  • 自費の新規を集める順番は「軸→ホームページ→Googleビジネスプロフィール→今いる患者さんと紹介→広告とポータル」。1〜4はお金がかからず、5は月額÷新規数で判断する。初回割引はしない
  • 第24条を守ったチラシで新規が集まった例を見たことがない。配るなら整体院を別に作って法的要件を整えてから

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この記事で使った数字と制度の出典

  • 傷病名の内訳(捻挫64.0%・打撲35.8%)と受療者の年齢分布(70〜79歳が19.3%で最多):厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会 第32回(2026年1月30日)資料「柔道整復療養費の令和8年度改定の基本的考え方(案)について」15・18ページ。2024年10月分の支給申請書を抽出して分析したもので、全数調査ではない https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001646871.pdf
  • 柔道整復療養費の推移(2014年度3,825億円→2022年度2,747億円):同委員会の配布資料。詳細は整骨院の経営が厳しい本当の理由の出典欄
  • 施術所数50,924か所・就業柔道整復師78,666人(2024年末):厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/index.html
  • 広告できる事項:柔道整復師法 第24条、および「柔道整復師法第二十四条第一項第四号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する事項」(平成11年厚生省告示第70号) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001375507.pdf
  • 広告の定義(誘引性・特定性・認知性)、ウェブサイトは原則広告に該当しないこと、広告とリンク先の一体扱い、ウェブサイトに掲載すべき事項と掲載すべきでない事項:厚生労働省「あはき・柔整広告ガイドライン」(令和7年2月18日・医政発0218第1号)Ⅱの1・Ⅱの6・Ⅵ https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001412674.pdf
  • クライアントの事例:数字は本人への聞き取りによる。院が特定されないよう、属性だけを書いた。個別の事例であり、同じ結果を保証するものではない

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