整体院の開業を目指す先生のための、「整体院開業の成功3ステップ」をお伝えします。特に1人で始められる一人治療院の先生向けです。整体院と書きましたが、鍼灸院や接骨院でもほぼ同じですので、柔整師や鍼灸師の先生も参考にしてください。
これを読んで実践すれば「なにをすればいいかわからない」という状態は避けられます。最初でつまずかないためにも最後までしっかり読んで、あなたの整体院の開業準備に役立ててください。
整体院の開業準備ステップ1:心の準備
治療院専門のコンサルタントとして多くの先生と接してきましたが、楽しく繁盛させている先生はまず自分の考え方をしっかりと持っています。いいかたを変えると「マインド」ですね。
例えば、なんのためにその整体院をやるのか? というところが明確になっています。
うまくいっていない先生に多いのが、資格取ったしお金もちょっとたまったし、そろそろ整体院を開業しようかな。真面目に3年頑張れば患者さんもついてなんとかなるでしょ。たぶん。といった感じになんとなーく始めてしまうパターンです。
もちろんそれでうまくいく先生もいるでしょうが、正直これからの治療院業界において、そういった「なんとなく開業組」が活躍できるほど甘くはないと僕は考えています。
あなたが整体院など治療院を開業するつもりなら必ず以下を決めておいてください
- 治療院経営で達成したことや目的
- 目的を含んだ期限付きの目標
- どういった治療家でありたいか。どう見られたいか。
- 家族など治療院以外との関係
などをはっきりと言語化しておくことをおすすめします。簡単にいうと、自分がなにをしたいのか? 整体院経営を通して人生をどう設計していきたいのかということです。
自分がなにがしたいかぐらいわかっている! と、ほとんどの治療家は反論するかもしれません。でも、僕が今までに追お会いした治療家で、しっかり明確化できている先生は少数でした。そしてその少数派の中に成功されている先生が多いのも、事実なのです。
もちろんこれさえ決めておけばそれでうまくいく。というわけではありませんが、こういった自分の行動の軸となるものを決めておくと、なにかあってもブレないでいられるのです。
特に1人整体院の場合はめちゃくちゃ孤独です。だから仮にうまくいっていたとしても不安になるときがあります。そんなときでも軸さえしっかりもっていれば、行動の一貫性が保てるのです。
この一貫性は整体院経営そのものにもかかわってきます。患者さん側から見ても一貫性は必要だからです。
整体院の開業準備ステップ2:資金調達
整体院の開業資金は規模や立地によって大きく変わります。なのでピンキリなのですが、仮に一人整体院で地方都市でちゃんとした商業店舗を借りた場合は600万ぐらい用意すればいいかなと考えています。
開業資金と書きましたが、店舗にだけ掛かる経費ではなく、もう少し広い視野で考えた資金です。具体的には店舗資金・広告資金・余剰資金の3つを合わせたものを整体院の開業資金と定義しています。それが600万。内訳は
- 店舗資金:保証金や店舗にかかる費用300万
- 広告資金:20万×6か月(120万)
- 余剰資金:30万×6か月(180万)
もちろん上記は目安です。保証金だけで200万掛かってしまうような立地だとこれでは済まないです。こだわりの内装があってそこは譲れない!なんて願望があればもっと高くなるはず。なのであくまで目安。
開業資金が乏しければ居ぬき物件を狙う
開業資金を低く抑えたいなら居ぬき物件やマンション開業を考えてください。
僕が25歳のときに最初に整体院を開業したときはわずか50万円の資金で始めました。わずか1年で撃沈しましたが・・・(資金不足のせいではなく単なる実力不足で)
2回目のリラクゼーション開業の際に用意した資金は200万円。こちらはほぼなにもかも順調にすすめてスタッフも雇い、整体院も作ることができました。
2回ともわずかな開業資金でも済んだのは1回目はマンションの1室、2回目は居ぬき物件という費用の掛からない選択をしたからです。店舗資金はこのどちらかを選べば抑えることが可能です。
1回目の整体院は失敗してしまっているので参考にならないとして、2回目のサロンについてお伝えすると、路面店のちゃんとした店舗で保証金は100万しました。でも居ぬきで内装にまったくお金が掛からなかったので、その費用を浮かせることができました。
あ、居ぬきとは、前の借主が退去するときに内装などを元に戻さずにそのままにしていった物件のことです。僕のサロン店舗の前の借主さんはブティックをされていたので、壁紙もキレイだし照明もおしゃれ。余計な備品もないし、更衣室まである。そんな絶好の居ぬき物件でした。
何件もの不動産屋さんに足を運び、条件を伝えておくと、そういった好物件が出たときにすぐに声を掛けてくれることがあります。
ここからはちょっと余談
整体院ではありませんが、令和2年の秋にジュエリーショップを開業したんですよ。20坪弱の店舗ですが店舗資金には600万掛かりました。内装も専門業者にデザインからお願いし、アンティークの什器を揃えるなどしていたらあっという間にこの値段。くぅ…内装ってこだわればホントに高いです。
もちろん僕は失敗しちゃいましたが、自宅やマンションの1室でも可能です。僕が主宰をつとめる治療家コミュニティの加藤会にはマンションの1室で開業されている先生はけっこういます。それでも普通に月商100万あげてる先生が何人もいますんで。
整体院の開業資金は店舗資金だけではない
整体院開業の際に店舗資金だけの計算だけしかしない先生が多いです。先にあげた3つのうち広告資金と余剰資金を無視しちゃうんですね。
僕自身は最初の整体院でも2回目のサロンでも思いっきりこれをやっちゃいましたが、本当はやってはダメなことです。
これをやってしまうと、開業したけど新患さんが来ない。でもチラシなどで広告するお金がない。ホームページ作るお金もない。というドツボ状態になってしまう可能性があるからです。僕は何人も何人も何人もこういった先生を見てきました。そして僕自身も1回目の整体院で盛大にやらかしました。
こうなるとできることは2つ。他でアルバイトするか、廃業するかです。他でアルバイトしながら盛り返すのは本当に大変。だからこそ店舗資金以外もしっかり確保しておく必要があるんですね。
このセクションの始めに示したように広告資金20万×6か月(120万)、30万×6か月(180万)の合計300万は用意したいところです。余剰資金の30万は家族がいるのかどうか、ローンがあるのかどうかなどによって変化しますんで、それはあなたの置かれている立場で計算してくださいな。
広告費の20万はずっと続けるという意味ではなく、最初の半年はこれぐらい用意しておくといいよという意味です。開業してすぐ看板だけで患者さんが押し寄せてくることはまずありません。ということは広告をうたないと患者さんは来ません。必ず広告費は確保しておいてください。
整体院の開業準備ステップ3:立地選び
整体院は地域ビジネスですので、原則として立地は非常に大事です。しかし、駅前にさえ院を構えておけばそれでいいというわけではありません。
例えば安い価格で大量の新規を集め、数をこなしていくことで利益を出したいというのであれば、駅前の一等地に開院することで成功する確率が高くなるでしょう。もしくは、最近多くなってきた幹線道路沿いの駐車場付きの店舗などでも、そういったビジネスモデルが採用されています。
なので、あなたがそれなりの資本を使って、こういった整体院(サロン)を作るのであれば、やはり駅前や幹線道路沿いの路面店を探すことをすすめます。
だた、この記事は冒頭にも記載したとおり、一人で開業されるような小規模治療院向けに書いています。そうなるとこの考え方ではおおきな問題があります。それは、駅前などの一等地の高い家賃です。
家賃は患者さんが来ても来なくても一律で発生する固定費です。一人治療院では数をこなすことが難しいので、この固定費はできるだけ低く抑えないと、働けども働けども手元に現金が残らない状態に陥ってしまいます。
なので、一人治療院などの小規模院は、原則として開業時の立地は無理して一等地に構える必要はありません。理由は先に書いた固定費を抑えたい目的もありますが、集客力をつければ立地は少しぐらい悪くても新規の患者さんを集めることは可能だからです。そしてそもそも集客力がなければ、いくら立地がよくても集客数は増えないからです。
立地で意識したいのは以下の3つ
- 需要(検索数や人口)多く供給(整体院)が少ない地域
- 治療院への通院の足。駅が近くない場合は駐車場が確保できるかどうか
- 集客力のある施設の近く
需要(検索数や人口)多く供給(整体院)が少ない地域
これはもう当然といえば当然ですね。整体が必要な患者さんの数が多く、整体院の数が少なければ競争は必然的にゆるくなります。
人口や駅の乗降者数はネットで簡単に調べることができます。その地域のライバル整体院なども検索でほぼ調べることができます。あるていどネットで調べて、最後は実際に足を運んで調べてみるといいです。
なかなか難しい作業になるかもしれませんが、とにかくまずはやってみてください。
余談ですが、僕が住む地域(大阪府吹田市)はかなりそこそここれに近い状態にあります。大阪はどこも競争が激しいですが、吹田市は今のところかなり緩い。
あと明確なデータはありませんが、200名以上の有料クライアントを抱えている立場から分析すると、大阪は相対的に競争が激しいです。東京は大阪に比べると集客経営がしやすいかなと感じています。地方はだいたい競争が緩いのも特徴です。
乗降者数の多い駅付近は競争は激しいし、家賃も高くなりやすいですが、集客も経営もやりやすいことが多いです。もちろんすべてではないのであくまで傾向として参考に。
治療院への通院の足
通院も考える必要があります。治療院経営成功のカギがリピートにあるからです。
いくら新規集客数が多くても、その患者さんがリピートしてくれなければ、その治療院は楽しく繁盛しているとはいえません。そのリピートに大きく影響するのが通院のしやすや、患者さんの足の確保なのです。
駅から近いのか、駐車場や駐輪場を確保できるのか、これらは重要です。
「行きたいけど、あの治療院って自転車を置くところないんだよねー」とか「いつも駐車場が埋まっていて安心して車で行けない」という理由で患者さんは通院を断念します。実際に駐輪場を確保してから来院数やリピートが向上したというケースもあります。
必ず通院の足は考えて立地選定をしてください。
集客力のある施設の近く
人が多く集まり場所にあると認知されやすいという大きなメリットがあります。
たとえば大きな商業施設の近くにあって、その前をたくさんの人が通るだけでいいんです。商業施設の中にある必要はありません。そこに整体院があると認知されるだけで集客にはプラスに働きます。
また通院の足である駐車場や駐輪場なども、その施設で代用することも可能です(本来はダメですが・・・)ついで通院の需要も見込めるのもメリットの一つ。イオンに買い物に来るし、その近くの治療院なら便利。という状態になれるからですね。
悩みのより深い重症患者さんをターゲットにした治療院であれば、ついでに来るという患者さんはほとんど関係ないかもしれませんが、「どうせならいつも行くイオンの近くだと便利」となれるメリットはあります。
★ステップ2の追記
ここでは自費治療院を想定して書いています。保険のみの整骨院であれば、ある程度人通りの多いところに院を構えるのがおすすめです。近いから安いからという理由でどれだけ集患できるかが勝負になるからです。
逆にそういった選ばれ方をするべきでない自費治療院は、例えマンションの一室であっても繁盛させることは可能です。
マンションの1室で開業を目指すならこちらを記事を参考にしてください
⇒ マンションや自宅の1室で開業を成功させるには
整体院の開業準備ステップ3:開業直後の新規集客
完全保険の整骨院が好立地に開業したならともかく、完全自費治療院なら看板さえ出しておけば勝手に患者さんが来るということはかなり難しいです。これは自分でなんらかの集客をしていかないとダメだということを意味します。
開業直後であれば、ほとんどの場合ホームページがしっかりとできていない状態です。(本当は開業前からしっかりと作り込むべきですが)となると、残りはオフライン集客。
整体院開業直後におすすめのオフライン集客は
- チラシ集客(ポスティング、折り込みなど)
- 院前集客
- 近隣店舗にあいさつ回りなどの営業
- 地域情報誌
この4つです
整体院開業直後のチラシ集客
チラシ集客に関しては、国家資格を持っている鍼灸・マッサージ師・柔整師は、関係法規を守らないとダメなのでちょっと難しいです。
完全に保険であればまだ大丈夫ですが、1施術5000円といった自費施術であれば広告制限を守って集客するのは無理です。なので無理にやる必要はありません。特に都市部においては普通は広告制限を守ったチラシでは勝負になりません。
ですが、民間資格の先生に関しては、開業時には必ずチラシはチャレンジしてください。なぜかというと、開業時のチラシは反応率が相対的にいいからです。このチャンスを逃すのはもったいない。
整体院前集客
院前集客も、開業時の反応は高い傾向にあり、開業してからの一定期間は院前に設置したチラシがかなりなくなります。ここも集客のチャンスなので、開業までにしっかりチラシを作り込み、この期間の集客の軸にしていきたいところです。
また、まずは認知してもらうことも大事なので、A型看板やブラックボードなどの活用も効果的です。
んが、ここでもあはき柔整の国家資格者は広告制限の問題がありますので、ろくなチラシは作成できません。とはいえ、広告制限を守ったチラシであってもなにもないよりはマシなので、設置だけはしておきましょう。そこからホームページなどに飛んでもらえれば集客につながっていきます。
近隣店舗へのあいさつ回り営業
近隣店営業は得手不得手があると思います。また、地域によっては近隣店舗がほとんどない場合もあります。ですので、できない場合は仕方ありませんが、しっかりと取り組めば成果はけっこう期待できる集客方法です。
ポイントがあるとすれば、相手も人間だということをしっかり肝に銘じること。
これの意味は、1回だけひょっこり挨拶に来た人間の治療院に、自分の大事な客を紹介しようと思う人がどれだけいるのか?を考えるということ。普通はそんな人はあまりいないと予想できますよね?だったら、そういうやり方ではあまり効果を見込めないということです。
できるだけ複数回あいさつに行く。実際にその店のお客さんになる。など関係を少しづつでもいいので構築していくことが大事です。場合によってはそれに予算もつけるべき。
この近隣店舗のひとつの特徴は、国家資格を持っている治療院でも使える場合があります。(保健所担当者さんの解釈によります)
広告であればあはき法の7条や柔道整復師法の24条に従う必要があります。でも広報であれば広告ではないので、ここに従う必要はないとも考えられます。
看板などは不特定多数の目に触れるから広告なんですね。でも、店主が自分の顧客に手渡すチラシならば、これは特定の個人が相手なので広報と考えられるのです。つまり広告の定義から外れる。となると接骨院でも鍼灸院でも内容をさほど気にせずにチラシが作って、近隣店舗の方に配ってもらえます。
ただし法律なので解釈の違いが必ず出てきます。最終的な判断は管轄の保健所に問い合わせてください。
地域情報誌
地域情報誌も国家資格者であれば苦しいかもしれませんので、民間資格の治療院のほうが使いやすいです。
地域情報誌は、その媒体ごとにかなり差がありますので、一律に効果のほどは予想できません。しかし、地域によってはやたらと費用対効果の高い地域情報誌があったりもします。また、媒体ごとにある程度のターゲット設定もしているので、自院のターゲットと合うようなら使いやすいはずです。
結局はやってみないとわかりませんので一度は試すことをおすすめします。
以上、治療院開業の成功3ステップ、いかがでしたか? これだけやればいいというわけではもちろんありません。少なくともこれらはしっかりと意識しておいたほうがいいという内容です。
実際にはここにリピートに関することや、新規集客の軸となるべきホームページの作成なども入ってきます。治療院を開業して半年から1年は本当に大変な時期になるかもしれませんが、治療以外の時間が取れる時期でもあります。
手を抜かずに、しっかりと芯の治療院を作るために頑張ってください。
集客やホームページに関しては以下の記事を参考にしてください
・治療院にお金を掛けずに集客する方法
・治療院のホームページってなにを書けばいいの?
・治療院のMEO対策完全網羅
・治療院の集客できるチラシテンプレート