治療院の休眠患者の掘り起こし|LINE・ハガキの文例と送る順番

カルテの棚を見ると、しばらく顔を見ていない患者さんの名前がずらっと並んでいる。この人たちがもう一度来てくれたら楽になるのに。予約表に空きが目立つ週ほど、そんなことを考えますよね。

休眠患者さんの掘り起こしは、やれば戻ってきてくれる人が出てくる可能性が高い施策です。ただ、全員に同じハガキを一斉に送るやり方は、一人治療院だと手間に見合わないことが多いんですね。来なくなった理由で3つのグループに分けて、戻ってきやすい人から順に、その人に合わせた連絡をする。これが僕のおすすめするやり方です。

この記事では、その分け方、送る順番と手段、LINEとハガキの文例を5つ、反応の測り方、そして送る前に確認しておきたい個人情報の決まりを書きます。

休眠患者の掘り起こしは、一人治療院でもやる価値があるのか

やる価値はあります。新規の患者さんと違って、休眠患者さんはあなたの院の場所も、あなたの顔も、施術の内容も知っています。広告費もほとんどかかりません。今すぐ売上を伸ばしたい先生にとっては、いちばん手の届きやすいところにある施策です。

ただし、優先順位は間違えないでください。僕は患者さんのフォローについて、通院中の患者さんと、長く通ってくれている優良な患者さんを先に大事にするべきだと考えています。来るかどうか分からない人より、今来てくれている人が離れないようにするほうが、少ない手間で売上につながるからです。この話は治療院のリピート対策はこの3つを意識するに詳しく書きました。

休眠患者さんの掘り起こしをしてはいけない、という意味ではないです。大いにやってもらっていいんです。限りある時間をどこに使うかっちゅう話なんですね。通院中の患者さんへのフォローができていて、それでも予約枠が余っている先生は、次の一手として取り組んでください。逆に、予約枠がすでに埋まっている先生は、やらなくて全然OKです。

来なくなった患者さんは、理由で3つに分けられる

掘り起こしというと、来なくなった患者さんを全員ひとまとめにして、同じ文面を送ってしまいがちです。でも、来なくなった理由は人によって違います。僕は大きく3つに分けて考えています。

治療院の休眠患者の掘り起こしで使う、来なくなった患者さんの3分類(卒業した人・途中でやめた人・不満があった人)と連絡のしかたの図解

グループ1:よくなって、通う必要がなくなった人

あなたの院に通って、痛みや不調が改善し、もう通わなくていい状態になった患者さんです。施術にはある程度満足していると考えられるので、3つの中ではもっとも戻ってきやすいグループです。それなりに通ってくれた結果としてよくなっているので、信頼関係も少しはできているし、カルテにその人の情報も残っています。

グループ2:途中でやめたけれど、悪い印象は持っていない人

よくなりきる前に、なんらかの理由で通院をやめてしまった患者さんです。ただし、あなたの院に不満があったわけではない人を指します。

多くの患者さんが来なくなる理由は、意外とちょっとしたことなんですね。痛みがだいぶマシになったから「もうええかな」と自分で判断した。用事が入って予約を1回キャンセルしたら、次の予約を取るきっかけを失って、そのままになった。本人はちゃんと治したかったのに、ずるずると中断している。そういう人は、どの院にもけっこういるはずです。

グループ3:不満があってやめた人

同じく途中でやめた患者さんですが、理由がネガティブな場合です。何回か通ったのにまったく変わらなかった、対応が気に入らなかった、といったケースですね。

グループ2と3を完全に見分けるのは難しいです。施術にどれくらい満足していたかは、本人にしか分からないからです。分けられなければ一緒にしてもらって構いません。ただ、ざっくりでも分けておくと、このあとの作業が効率よく進みます。

なお、何か月来なかったら休眠とするか、という決まりはありません。院によって通院のペースが違うからです。目安がほしい先生は、「その患者さんに伝えていた来院間隔の2倍が空いたら」と決めておくと、カルテを仕分けしやすいと思います。

誰から、どの手段で送るか

分けたら、戻ってきやすい人から順に連絡します。来る可能性が高いほうに手間をかけるのが鉄則です。

順番 相手 連絡のしかた かける手間
1 グループ2で、来なくなって日が浅い人 個別に連絡。計画の続きと、予約できる日時を伝える かける
2 グループ1(よくなって卒業した人) 個別に連絡。その人の体の特徴に触れる かける
3 グループ1・2で、時間が経った人 一斉配信に切り替える かけない
4 グループ3(不満があった人) 無理に連絡しない。するなら理由を聞く 余力があれば

手段はLINEを基本にして、ハガキは相手を選んで使う

連絡の手段は、LINE公式アカウントを基本にしてください。一人治療院で、ハガキを何十枚も手書きするのはかなりの負担です。LINEなら個別の連絡も一斉配信もできるし、予約ページのリンクも貼れます。登録の取り方と配信の型は治療院のLINE公式アカウント|登録の取り方・配信の型・プラン選びにまとめました。

もちろん、ハガキにはハガキのよさがあります。年配の患者さんはハガキをありがたがってくれることが多いし、そもそもLINEに登録していない休眠患者さんには、ハガキか電話しか届ける方法がありません。なので、LINEでつながっている人にはLINE、つながっていない人のうち「この人には戻ってきてほしい」と思う人にだけハガキ、という使い分けが現実的です。受付のスタッフがいる院なら、空き時間にハガキを書いてもらうのもいいですね。

電話も手段の一つですが、いきなり電話がかかってくると困る人もいます。家族に内緒で通っていた人にとっては、ハガキも電話も迷惑になることがあるので、そこは相手を見て決めてください。

個別の連絡から、一斉配信へ切り替える

グループ1と、日が浅いグループ2には、できれば個別に連絡します。正直、面倒くさいです。でも、その人のことを書いた一通は、全員に同じ文を送るより反応が返ってきやすいんですね。

ただ、ずっと個別に送り続けるわけにはいきません。時間が経った人は、週1回の空き状況のような一斉配信に切り替えてください。その人に合わせた内容ではなくなりますが、なにも送らないよりはずっといいです。紙やPDFで定期的に届ける方法もあって、こちらは治療院のニュースレターの書き方を参考にしてください。

休眠患者さんに送るLINEの文面を、受付でカルテを見ながら考える治療院の院長

休眠患者さんに送るLINE・ハガキの文例5つ

ここからは文例です。そのまま使うのではなく、あなたの言葉と、その患者さんの情報に置きかえて使ってください。ネットで拾った文章をコピペしただけの連絡は、読んでもらえないことが多いからです。

文例1:よくなって卒業した人へ(LINE・個別)

◯◯さん、ごぶさたしています。△△整体院の□□です。その後、膝の調子はどうですか。◯◯さんは右側に体重が乗りやすいので、右の腰に負担がかかりやすい体の使い方をされています。もし右の腰が重だるい日が出てきたら、膝に響く前に一度見せてください。ご予約はこちらからどうぞ。(予約ページのURL)

大事なのは、その人の体の特徴に触れていることです。カルテを見返して、一人ずつ書きかえてください。

文例2:途中で中断した人へ(LINE・個別・日が浅いうちに)

◯◯さん、△△整体院の□□です。その後、腰の具合はどうですか。前回までで、計画していた8回のうち5回目まで進んでいました。ここで間が空くとぶり返しやすい時期なので、気になっていました。今週だと、15日(木)の18時と、17日(土)の10時が空いています。ご都合が合えば、このLINEに返信してください。

計画がどこまで進んでいたかを伝えることと、すぐ予約が取れる形にすることがポイントです。「なぜ来なくなったんですか」と責める言葉は入れないでください。

文例3:時間が経った人へ(LINE・一斉配信)

△△整体院です。来週の空き状況をお知らせします。
月:満員
火:2枠(12時・18時半)
水:1枠(16時)
木:満員
金:3枠
土:1枠(13時)
朝晩が冷えてきて、腰や首のこわばりの相談が増えています。しばらくお休みされていた方も、気になるところがあればご連絡ください。

一斉配信は、売り込みよりも「思い出してもらう」ことが目的です。週1回くらいにとどめてください。

文例4:LINEでつながっていない人へ(ハガキ)

◯◯様
ごぶさたしております。△△整体院の□□です。
その後、お体の調子はいかがでしょうか。
季節の変わり目は、以前の不調がぶり返しやすい時期です。気になることがあれば、いつでもご相談ください。
(手書きで一言)お孫さんの運動会、今年も走られましたか。
ご予約:電話 000-000-0000/LINE(QRコード)

ハガキは、全部が印刷だと読まれにくいです。一言でいいので、その人との会話を思い出して手書きで添えてください。営業日に届くように出すことも忘れないでくださいね。ハガキを見てすぐ電話をくれる人が多いので、休みの日に届くともったいないです。季節のハガキの考え方は治療院の暑中見舞いハガキは出すべきか?と患者さんに誕生日ハガキを送るべきかにも書いています。

文例5:不満があったかもしれない人へ(余力があれば)

◯◯さん、△△整体院の□□です。前回から間が空いてしまい、気になってご連絡しました。施術や説明で、分かりにくかったところや、期待と違ったところがあれば、教えていただけるとありがたいです。今後の参考にさせてください。ご返信は無理のない範囲で構いません。

このグループには、来てくださいという連絡より、なぜ来なくなったのかを教えてもらう連絡のほうが向いています。ただ、これはなかなか難しいです。僕はこういうのが苦手なので、自分ならなにもしないかもしれません。できる先生だけやってみてください。

割引はつけなくていい

「久しぶりの方は◯円引き」のような割引は、つけなくていいと僕は考えています。反応は上がるかもしれませんが、理由のない割引は施術の価値を下げてしまうし、割引で戻ってきた人は、次も割引がないと動きにくくなるからです。安さを売りにしている院なら、それも一つのやり方です。そうでないなら、割引なしで、その人のことを書いた連絡を送ってください。

ただし、もともと割引で来院された方に関しては、割引をつけることで戻ってきてくれる可能性は相対的に高くなります。また割引目当てだけですぐ離脱してしまう可能性も高くなりますが、そこをわかった上でやるならば、そういった層に対しては、割引でアナウンスするのも一つの手段になります。

休眠患者の掘り起こしで、どれくらい戻ってくるのか

休眠患者さんへの連絡でどれくらい戻ってくるかを調べた公的な統計は、僕の知る限りありません。ネットには「30枚送って5人来た」といった数字が出てきますが、どれも書いた人の体験談で、条件が分からないので、あなたの院の目安にはしにくいです。

だから、自分の院で測ってください。記録するのは3つだけです。

  • 連絡した人数(グループごと)
  • 予約が入った人数
  • そのうち、2回目も来てくれた人数

計算の例を一つ出しますね。グループ1の患者さんが100人いて、そのうち5人が戻ってきてくれたとします。1回6,000円で、一人が5回通ってくれれば、6,000円×5回×5人で15万円です。これは例であって、あなたの院でこうなるという話ではないです。でも、こうやって数字にしておくと、個別に連絡する手間をかける価値があるかどうかを、自分で判断できるようになります。

治療院の休眠患者の掘り起こしの4つの手順(理由で分ける・個別に連絡する・一斉配信に切り替える・記録する)の図解

休眠患者さんに連絡する前に確認したい3つの決まり

ここは法律の話です。僕は法律の専門家ではないので、公的な資料に書いてあることだけを紹介します。迷ったら、個人情報保護委員会の相談窓口や、所属している団体に確認してください。

決まり 何が求められているか 院でやること
個人情報保護法 個人情報を使う目的をできる限り特定し、書面で直接もらうときは、あらかじめその目的を本人に示す(17条1項・21条2項) 問診票に「お知らせの送付に使う」ことを書いておく
特定電子メール法 広告や宣伝のメールは、原則として、あらかじめ同意した人にだけ送れる メールで案内を送るなら、同意をもらい、断られたら止める
あはき法・柔整法の広告制限 広告できる事項が限られている 効果をうたう表現を避ける

個人情報保護法:問診票に「お知らせに使う」と書いてあるか

問診票に書いてもらった住所や電話番号は、個人情報です。個人情報保護法は、個人情報を何に使うかをできる限り特定することと、本人から書面で直接もらうときは、あらかじめ使う目的を示すことを求めています。患者さんの数が少ない院も対象です。

個人情報保護委員会のガイドラインは、目的を特定できていない例として「事業活動に用いるため」「マーケティング活動に用いるため」を挙げています。逆に、特定できている例は「商品の発送、関連するアフターサービス、新商品・サービスに関する情報のお知らせのために利用いたします」のような書き方です。

治療院に当てはめると、問診票に次のような一文を入れておくのがいいと思います。

ご記入いただいた個人情報は、施術、ご予約に関するご連絡、当院からのお知らせ(ハガキ・LINE・メール)の送付のために利用します。お知らせが不要な方は、こちらにチェックを入れてください。□

今の問診票にこの一文がない先生は、まず問診票を直して、院内やホームページにも使う目的を掲示しておいてください。そして、すでに来なくなっている患者さんへ送る連絡には、「今後のご案内が不要な場合はお知らせください」と添えておくと丁寧です。問診票の作り方は問診票サンプル・テンプレート無料ダウンロードを見てください。

特定電子メール法:メールで送るなら同意が要る

広告や宣伝のためのメールは、原則として、あらかじめ送信に同意した人にしか送れません。取引関係にある相手には例外がありますが、その場合でも、受け取りを断られたら以後は送れなくなります。メールアドレスを聞いている院は、問診票の一文でお知らせの同意をもらっておき、配信を止める方法も毎回書いておくのが安全です。

LINE公式アカウントは、患者さんが自分で友だち追加してくれた相手にしか送れないし、相手はいつでもブロックで止められます。この点でも、LINEを基本にするのは理にかなっています。

戻ってきた患者さんを、もう一度休眠させないために

掘り起こしで戻ってきてくれても、同じところでまた来なくなってしまっては意味がないですよね。特にグループ2の患者さんは、前回「もうええかな」と自分で判断してやめた人です。なにも変えなければ、同じことが起こりやすいと考えておいたほうがいいです。

なので、戻ってきてくれた日に、次の3つをやってください。

  • 今の状態と、ここから何回くらい通う必要があるかを、あらためて説明する(通院計画を告げるべきか否か)
  • その場で次回の予約を取る
  • LINEでつながっていなければ、その日に登録してもらう

そして、2回目の来院、5回目の来院まで続いているかを数えておいてください。数え方は整体院のリピート率の平均・目安は?計算式と一人院が目指す数字に書いています。休眠患者さんそのものを減らすには、初回の説明と通院中のフォローを見直すのが近道です。患者さんがリピート通院してくれない理由も一度読んでみてください。掘り起こしは対症療法で、休眠させない仕組みのほうが根本の対策なんですね。

この記事の要点

  • 休眠患者さんの掘り起こしはやる価値がある。ただし優先順位は、通院中の患者さんと優良な患者さんのフォローより下
  • 来なくなった患者さんは「よくなって卒業した人」「途中でやめたが悪い印象はない人」「不満があった人」の3つに分ける
  • 戻ってきやすい人から順に連絡する。日が浅い中断の人と、卒業した人には個別に。時間が経った人は一斉配信に切り替える
  • 手段はLINEが基本。ハガキはLINEでつながっていない人のうち、戻ってきてほしい人にだけ
  • 文面はその人の体のことを書き、すぐ予約できる形にする。責めない。割引はつけなくていい
  • 反応の公的な統計はない。連絡した人数・予約した人数・2回目も来た人数を自分の院で記録する
  • 問診票に「お知らせの送付に使う」と書いておく。メールで案内を送るなら同意をもらう

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休眠患者さんの掘り起こしは、空いた予約枠を埋める助けになります。でも、誰に来てもらい、初回にどう説明し、どう通ってもらうかが決まっていない院では、戻ってきた患者さんがまた同じところで離れてしまいます。

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この記事で参照した資料

  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-1 利用目的の特定、3-3-4 直接書面等による取得(2026年10月12日確認)https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/
  • 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律 第3条(送信の制限)・第4条(表示義務)(e-Gov法令検索・2026年10月12日確認)https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0100000026
  • 患者さんの3つの分け方、送る順番、文例は、僕がクライアントにすすめているものを整理したものです。「100人のうち5人」は計算の例で、統計ではありません

法律の決まりは改正されることがあります。実際に運用するときは、公的機関の最新の情報を確認してください。

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