整体院の客単価って、いくらが普通なんやろ。そう思って検索されたんだと思います。
リクルートの調査によると整体(もみほぐしや足つぼを含む、服を着たまま受ける施術)の1回あたりの利用金額は、2026年上期の調査で女性5,222円、男性4,948円。ざっくり5,000円前後です。
ただ、この数字を目標にしないでください。相場に合わせにいった瞬間、考え方がそこに固定されます。あくまで調査の平均がそうであるだけで、もっともらえている院はたくさんあるからです。
この記事では、公表されている調査データから客単価の相場を出したうえで、単価を上げるときにどこから手を付けるのかを順番に書きます。数字は全部、調査報告書の現物から取りました。出典も最後にまとめて置いています。
整体院の客単価の相場は1回あたり5,000円前後
まず相場から。
リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが出している「美容センサス2026年上期」に、リラクゼーションサロンの調査があります。この中の「着衣の施術」というのが、整体・もみほぐし・足つぼを指します。報告書の注記にそう書いてあります。
1回あたりの利用金額はこうなっています。
| 区分 | 2026年上期 | 前年比 |
|---|---|---|
| 女性全体(15〜69歳) | 5,222円 | +0.5% |
| 男性全体(15〜69歳) | 4,948円 | +3.3% |
年代別で見ると、女性は40代の5,700円が最も高く、男性は50代4,926円・60代5,163円あたりに固まっています。
もう少し細かく、いくらの価格帯に何%の人がいるのかも出ています。
| 1回あたりの金額 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 〜2,000円 | 13.0% | 18.1% |
| 2,001〜4,000円 | 28.8% | 30.9% |
| 4,001〜6,000円 | 37.5% | 30.9% |
| 6,001〜8,000円 | 8.9% | 7.8% |
| 8,001〜10,000円 | 8.1% | 8.4% |
| 10,001円以上 | 3.7% | 4.1% |
女性で6,000円を超えているのは20.7%、男性で20.3%。5人に1人しかいません。逆に言えば、6,000円超えの層はちゃんと存在していて、しかも10,001円以上に4%前後が入っている。ここは覚えておいてください。あとで効いてきます。
この数字を読むときの注意が2つあります
ひとつめ。整体院だけの公的な統計は存在しません。整体は国家資格の枠の外にあるので、厚生労働省の衛生行政報告例にも出てきません。だから民間の調査で見るしかない、というのが実情です。この記事で使っている数字も、国が集めたものではなく、リクルートがインターネット調査で集めたものです。
ふたつめ。この調査が聞いているのは「利用者が1回あたりにかけている費用」です。院の帳簿から出した客単価ではありません。初回料金や回数券をどう答えているかは回答者次第ですし、物販が入っているかも分かりません。院側で「売上÷延べ来院数」を計算した数字とはズレます。
なので、この5,000円前後という数字は目安であって、答えではない。そこは押さえたうえで読み進めてください。
ついでに書いておくと、ネットで「整体院の客単価は6,000円前後」「4,000〜6,000円が全体の42%」といった数字をよく見かけます。僕も一通り当たってみたんですけど、元の調査にたどり着けたものが一つもありませんでした。どこかの数字が引用を重ねるうちに事実になっているんだと思います。この記事では、報告書のPDFを開いて確認できた数字だけを載せています。
国家資格の自費施術は、整体より1,500〜3,000円高い
同じ会社が「鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2026」も出しています。これがなかなか面白いんですね。
こちらは保険適用なし、つまり自費で受けたときの1回あたりの金額です。
| 施術 | 2026年 男女計 | 前年差 |
|---|---|---|
| 鍼灸 | 8,132円 | +719円 |
| あん摩・指圧 | 7,241円 | +668円 |
| 接骨・整骨 | 6,842円 | +843円 |
先ほどの整体(着衣の施術)が女性5,222円・男性4,948円でしたから、1,500円から3,000円ほど上にいます。しかも3ジャンルとも前年から上がっています。
念のため書いておくと、この2つの調査は対象年齢が違います(着衣の施術は15〜69歳、こちらの本調査は20〜59歳)。だから小数点まで詰めた比較はできません。それでも1,500円以上の差というのは、年齢構成のズレで説明がつく幅ではないと思うんですね。
先生ならとっくにご承知のとおり、鍼と手技で原価が何千円も変わるわけがないです。技術の差でもない。整体で1万円取っている先生を僕はたくさん知っていますし、鍼灸で3,000円の院もあります。
じゃあ何の差なのかというと、何屋として売っているかの差です。ここは値付けの話ではなく、そもそもの立ち位置の話。それが1回2,000円の差になって出ています。
見るべきは客単価より「1年でいくら払ってもらえるか」
ここからが本題です。
客単価だけ見ていても、経営の実態はつかめません。同じ調査に年間利用回数が載っているので、掛け算してみます。
| 施術 | 1回あたり | 年間回数 | 1人あたり年間 |
|---|---|---|---|
| 鍼灸(自費) | 8,132円 | 6.3回 | 約51,200円 |
| 接骨・整骨(自費) | 6,842円 | 6.6回 | 約45,200円 |
| あん摩・指圧(自費) | 7,241円 | 5.8回 | 約42,000円 |
| 整体など着衣の施術(女性) | 5,222円 | 6.05回 | 約31,600円 |
| 整体など着衣の施術(男性) | 4,948円 | 5.31回 | 約26,300円 |
右端の列は、僕が調査の数字を掛け合わせて出したものです。調査に載っている数値ではないので、そこはご了承ください。

見てほしいのは差の開き方です。1回あたりでは1.3〜1.6倍だったのが、1年で見ると1.4〜1.9倍まで広がります。単価が高い施術のほうが、回数も落ちにくいからです。
これ、直感と逆やと思うんですよ。高いと足が遠のきそうやのに、実際は逆。安い施術のほうが1年間の総額が伸びない。
理由はシンプルで、安い施術は「行けたら行く」枠に入るからです。5,000円のもみほぐしは、忙しい月には飛ばせます。8,000円払って体を診てもらっている先には、飛ばさない理由があるんですね。
単価を上げるというのは、通う理由を作り直すことと同じです。値札を書き換えることではないです。
施術のほかに、物販で1人あたりの金額を伸ばすやり方もあります。ただ、向く院と向かない院がはっきり分かれます。判断の基準は整体院の物販はやるべき?向く院の条件と押し売りにならない売り方に書きました。
単価だけ上げると、業界と同じことが起きます
ここは正直に書いておきます。
さっきの美容センサス、着衣の施術の1回あたり金額は上がっていました。女性+0.5%、男性+3.3%。値上げは進んでいます。
ところが同じ調査で、着衣の施術の市場規模は2,392億円、前年比マイナス14.5%。1年で1割半、縮んでいます。
なんでかというと、利用率が落ちたからです。過去1年に着衣の施術を利用した人の割合は、女性10.8%(前年から1.0ポイント減)、男性10.0%(1.8ポイント減)。単価は上がったのに、そもそも来る人が減った。差し引きで市場は縮んだわけです。
保険の世界でも、柔道整復の療養費は8年で約3割減りました。整骨院の側で何が起きているかは整骨院の経営が厳しい本当の理由|2026年7月改定で保険はもう限界に書いています。
これ、業界全体で起きたことですけど、一つの院でもまったく同じ形で起きます。

値上げした直後の1か月は大丈夫でも、3か月後に予約表の空きがじわじわ増えてくる院は多いです。
だから順番があるんですね。「上げても離れない理由」を先に作ってから、値段を動かす。この順番を逆にすると、業界全体でいま起きていることを、自分の院で小さく再現するだけになります。
週休2日で月商100万を、客単価から逆算する
じゃあいくらにすればいいのか。相場から考えるのをやめて、自分の働き方から逆算してみましょう。
週休2日で月に21日働くとします。月商100万なら、1日あたり47,620円です。
施術60分+前後の準備で10分、1人あたり70分として計算するとこうなります。
| 客単価 | 1日の必要人数 | 1日の施術拘束時間 | 月の延べ人数 |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | 9.5人 | 約11時間 | 200人 |
| 6,000円 | 8.0人 | 約9時間20分 | 167人 |
| 8,000円 | 6.0人 | 約7時間 | 125人 |
| 10,000円 | 4.8人 | 約5時間40分 | 100人 |
| 12,000円 | 4.0人 | 約4時間40分 | 83人 |

一人整体院で、1日9.5人を週5日。これを1年続けられる先生は、そう多くないと思うんですね。しかもこれは施術の時間だけで、掃除も経理も集客も入っていません。
相場の5,000円のままで週休2日と月商100万を両立させようとすると、体のほうが先に終わります。
逆に8,000円なら1日6人、施術は7時間。これなら回ります。10,000円なら1日5人弱です。
つまり客単価というのは、周りの院と比べて決めるものではなくて、あなたが何日休みたいか、1日何人まで診たいか、いくら残したいかの3つから決まるものなんです。
時間単価の考え方については、1人治療院の経営を成功させる5つの秘訣のほうで詳しく書いています。施術時間を短くして分単価を上げるやり方も、選択肢としてはありです。
整体院が客単価を上げる5つの手順
順番に書きます。上から順にやってください。

手順1:いまの客単価と、1人あたり年間単価を出す
まずは現在地です。この2つを電卓で出してください。
・客単価 = 1か月の売上 ÷ 1か月の延べ来院数
・年間単価 = 1年の売上 ÷ 1年の実人数(同じ人は1人と数える)
年間単価まで出している先生は、そう多くはないと思うんですね。でもさっき見たとおり、経営を左右するのはこっちです。
出してみて年間単価が3万円台だったなら、数字の上ではリラクゼーションと同じ枠に入っています。技術の話ではないです。患者さんから見た位置がそこにある、というだけの話ですね。
手順2:メニューを減らして、料金を1枚で見えるようにする
値段をいじる前にこれをやってください。理由はデータにあります。
さきほどの鍼灸・接骨院の調査で、施設に対して「嫌だと思ったこと・不満に思ったこと」の1位が「メニュー・クーポンが分かりにくい・充実していない」で19.3%。20代では27.4%、30代では23.6%まで上がります。
逆に「いいなと思ったこと・満足したこと」を見ると、1位が「口コミの評判が良い」33.8%、2位が「メニュー・クーポンが充実・分かりやすい」29.3%。さらに会計時の「料金が明確・分かりやすい」も26.4%で、50代では36.8%、40代では31.6%と高くなります。
要するに、分かりにくい料金表は、それだけで不満の1位になるわけです。
やることは足し算ではなく引き算です。
・メニューを3つ以内に絞る(初回・通常・長めの3つで足ります)
・時間と金額をセットで書く(60分8,000円、のように)
・回数券や延長料金は同じ紙に書く。後出しにしない
・「〜から」という書き方をやめる
高い安いより先に、選べるかどうかなんですね。6,000円超えの層は2割いると最初に書きました。その2割は、選べる状態になっていないと選びようがないです。
手順3:問診と説明に時間を使う
同じ調査で、自費で通っている人の利用理由の2位が「自分の体質・体調に合わせて適切に施術してもらえる」34.8%でした。1位は「心身がリフレッシュできる・癒される」36.4%、3位が「すぐに効果を感じられる」28.7%です。
2位の項目は、施術そのものではなく「自分に合わせてくれている」という実感です。これが伝わるかどうかは、施術ではなく問診と説明で決まります。
ここは僕が何度も書いてきたところなので、詳しくは保険中心の接骨院で自費治療を高単価で売る方法を読んでください。接骨院向けに書いた記事ですけど、整体院でも鍼灸院でも中身は同じです。
手順4:通う理由を先に渡す
利用目的のデータも見ておきます。1位が「頭痛・肩や首の痛み、腰痛などの解消」36.9%、2位が「体のメンテナンス」32.5%、3位が「姿勢改善・ゆがみ矯正」29.9%。
2位のメンテナンスが3割を超えているのが大事なところです。痛みが取れたら終わり、ではない人が3人に1人いる。この人たちに通い方を先に提示できているかで、年間単価が変わります。
初回の説明で「今日で終わりではなく、こういう順番で進めます」と道筋を渡す。それだけでいいです。
道筋を渡したあとは、2回目と5回目にどれだけ残っているかを測っておくと、効いているかどうかが分かります。測り方は整体院のリピート率の平均・目安は?計算式と一人院が目指す数字にまとめました。
回数券はそのための道具のひとつですけど、道具でしかありません。売ること自体が目的になると事故ります。判断材料は治療院で回数券を導入するメリット・デメリットにまとめてあります。
手順5:新規の入口を作り直してから、値段を動かす
最後です。ここまでやってから値上げしてください。
理由は、値上げすると必ず何人かは離れるからです。離れた分を埋める入口がないまま値段を上げると、さっきの市場と同じで「単価は上がったが人が減って売上は落ちた」になります。
入口で効くのも調査に出ています。満足の1位が「口コミの評判が良い」33.8%、不満の2位が「施術者の情報が分からない」18.0%(20代20.4%、30代23.4%)。
つまり、来る前の時点であなたが誰なのか分からないのが、そのまま不満になっている。ホームページに院長の顔と経歴と、何を大事にしているかを書いてあるか。口コミに返信しているか。まずそこです。
安売りで新規を集めると、この後がしんどくなります。そのあたりは中途半端な治療院は潰れると成城石井に学ぶ治療院経営でも書いています。
値上げするときに、最低限やっておくこと
手順5まで終わったら、実際に値段を動かします。細かい話は整体院の値上げのタイミングと伝え方|失敗しない3条件と告知文の例文に書きましたけど、最低限これだけは。
・新規から先に新価格にする。既存の患者さんは1〜3か月の猶予を置く
・告知は紙やLINEなどでも伝える。口頭だけにしない。言った言わないになります
・理由を書く。値上げの理由はたいした理由でなくてもOKです。書いてあるかどうかが大事です
・自分が納得できる金額にする。ここが一番大事です。先生自身が高いと思っている金額は、必ず声のトーンに出ます
僕自身、整体院とサロンをやっていたときに何度か値上げしましたけど、いちばんしんどかったのは患者さんの反応ではなく、自分が新しい金額を口に出すときでした。そこを越えられるかどうかは、手順1から4がどれだけできているかで決まります。
この記事の要点
・整体(着衣の施術)の1回あたり利用金額は女性5,222円・男性4,948円。ただし整体院だけの公的統計はなく、これは利用者側の申告額
・国家資格の自費施術は6,842〜8,132円で、整体より1,500〜3,000円高い
・1年あたりで見ると差はさらに開く。整体系は約2.6〜3.2万円、自費の鍼灸は約5.1万円
・業界全体では単価が上がっているのに市場は前年比マイナス14.5%。利用率が落ちたから。単価だけ上げると同じことが院の中で起きる
・週休2日で月商100万なら、客単価8,000円で1日6人。5,000円だと1日9.5人で体が持たない
・順番は、①現在地を出す ②メニューを絞って料金を明確にする ③問診と説明 ④通う理由を渡す ⑤入口を作り直す。値上げは最後
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客単価を上げるというのは、値札を書き換えることではなく、どんな人を集めて、どう問診して、どう通ってもらうかという全体の設計の話です。ここが噛み合っていないと、値上げしても3か月で元に戻ります。
その設計の考え方、つまり一人治療院が体を壊さずに繁盛するためにおさえるべき本質を、無料の動画セミナーで解説しています。メールアドレスの登録だけで見られますので、単価を見直す前の材料にしてください。
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この記事で使った数字の出典
・整体(着衣の施術)の1回あたり利用金額・年間利用回数・価格帯分布:株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「美容センサス2026年上期《リラクゼーションサロン編》」報告書PDF(2026年6月25日公表)のP19〜P22。市場規模と利用率は同アカデミーの公表ページ。調査は2026年1月21日〜2月12日、人口20万人以上の都市に住む15〜69歳の男女各6,600サンプルのインターネット調査
・自費施術の1回あたり利用金額・利用頻度・利用理由・利用目的・満足点・不満点:株式会社リクルート ホットペッパービューティーアカデミー「鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2026【サマリー編】」(2026年7月9日公表)のP12・P13・P14・P15・P17・P18。実査は2026年4月15日〜21日、本調査は保険適用なしで1年以内に利用した20〜59歳の男女各1,000人
・1人あたり年間額(1回あたり×年間回数)と、月商100万の逆算表は、上記の公表値をもとに僕が計算したものです。調査に載っている数値ではありません
