整骨院の自費移行|一気か段階かの決め方と、失敗しない4つの順番

「整骨院 自費移行」と検索した先生は、たぶん「自費を少し増やしたい」の段階はもう過ぎていて、保険中心の院をどうやって自費の院に変えるか、その手順を探していると思います。この記事は、保険中心でやってきた一人の整骨院・接骨院の院長で、本当の外傷以外は自費にしたい、もしくは全部自費にしたいという先生に向けて書きます。慢性の症状もけがということにして保険で請求し、そこに自費を上乗せして売上を伸ばしたい、という先生には参考にならないので、ここで閉じてもらって大丈夫です。

先に結論を書いておきますね。自費移行がうまくいくかどうかは、腕でも覚悟でもなく、順番で決まります。値段を決めて、患者さんに伝える言葉を用意して、新規が入ってくる入口を1つ作って、それから保険を細らせる。この順番を逆にして、保険をやめてから準備を始めた院では、患者さんの9割が抜けたあとに何も残っていない、ということが普通に起きます。

僕は治療院専門のコンサルタントで、これまで何百院という接骨院・整骨院に関わってきました。保険が厳しくなっている理由と制度の中身は整骨院の経営が厳しい本当の理由に、一人院の売上と手元に残る額の数字は整骨院は儲からない?に書いたので、この記事では「一気にやるか、段階でやるか」の決め方と、失敗しない順番、今通ってくれている患者さんへの伝え方、保険をやめるときの実務に絞って書きます。

自費移行の失敗は、腕やなくて順番です

自費移行で失敗した院の話を、僕は何度も聞いてきました。パターンは大きく2つです。

1つは、何の準備もなく一気に切り替えた院です。今の患者さんも多少は残ってくれるやろう、看板だけで新規も来てたから自費でも少しは来るやろう。そう思って切り替えたら両方とも全然ダメで、患者さんの9割が抜けて残ったのは1割だけ、ということも珍しくありません。

もう1つは、段階的に始めたけれど、やりにくさと手間で途中で止まった院です。そのうち気持ちが緩んで、気づいたら元の保険中心の院に戻っていた。統計を取ったわけではないので割合までは言えませんが、僕が見てきた範囲では、これも珍しくないです。

どちらも、腕の問題ではありません。保険の院と自費の院は、もう別の業種に近いくらい中身が違うのに、そこを認識せずに同じやり方で動かそうとしたことが原因です。

  • 来る人が違う:保険は「安く受けたい、もしくは安いものしか受けられない」方が中心。自費は「少しくらい高くても価値があればいい」方が中心
  • 渡しているものが違う:保険は物療機器を使って手のかかり方を抑え、何人かを同時に診る院が多い。自費は1枠に1人だけを診て、時間に余裕を持たせる先生が多い
  • 集め方が違う:保険は「安いですよ、お気軽に」で認知されれば来る。自費は、高くても受ける理由をはっきり伝えないと来ない

この3つが違うものを、同じ看板、同じホームページ、同じ予約の仕組みで同時に回そうとすると、あちこちで無理が出ます。カーテン1枚を挟んでこちらは保険、あちらは自費、という状態は、患者さんからよく見えています。なんで向こうのほうが安いのか、なんで向こうのほうが丁寧なのか。それが紹介した人とされた人の間で起きると、さらにややこしい。

ちなみに、厚生労働省の委員会に出された令和7年度の経営実態調査では、個人の施術所のうち医療保険外の施術を実施していないところが28.9%ありました。回答率12.4%の調査なので業界全体の数字とは言えませんが、保険だけでやっている院が3割近くある、という数字が公的な調査に出ていること自体は押さえておいていいと思います。今どこに立っていても、あなただけではないっちゅうことです。

一気か、段階か。やりやすいのは一気のほう

移行のやり方は2つです。一気に全部を自費に切り替えるか、じわじわと段階的に移していくか。意外に思われるかもしれませんが、やりやすいのは一気に切り替えるほうです。

整骨院の自費移行で、一気に切り替える場合と段階で移す場合のやりやすさ・売上の落ち方・要る準備・向く院の比較

一気に切り替える 段階で移す
やりやすさ 高い。保険と自費を同時に回すややこしさが全部消える 低い。同じ院で2つの業種を回す
売上の落ち方 直後に大きく落ちることが多い 落ちにくい。今の売上をある程度保てる
要る準備 運転資金・新規の入口・伝える言葉。全部そろってから 同じ。量は少なくていいが、順番は変わらない
向く院 手元に余裕があり、自費で人が来る入口がある院。移転や新規開業の形を取れる院 運転資金が薄い院。入口がまだ看板と紹介だけの院
よくある失敗 準備なしで切り替えて、9割が抜ける 中途半端に始めて諦め、保険中心に戻る

一気に切り替えるメリットは、さっき書いたややこしさが全部なくなることです。デメリットは、患者さんの入れ替えが必要になることです。今来ている方は安く受けたい層ですから、全員がそのまま残ることはまず考えられません。普通にたくさん離脱します。ただ、ここで分けて考えてほしいのは、これは一気にやったから起きたことではなく、何の準備もないまま一気にやったときに起きている、ということです。やり方の問題と、準備の問題は別です。

僕が個別サポートをさせてもらった先生に、10人規模の保険中心の接骨院を縮小していき、あるとき一人の自費治療院にすると決めた方がいます。この先生は場所を移して新規開業という形を取り、自費の治療院としてのホームページを作り、広告に使うお金も用意して、コンセプトを決めてから開けました。開業1か月目で月商は120万円ほど、1年で月商200万円になりました。同じようになるとお約束はできませんが、一気にやってうまくいくかどうかは、覚悟の量ではなく準備の量で決まるんですね。

段階で移すほうは、リスクが小さいのが利点です。今の売上をある程度保てるので、生活はとりあえず回ります。僕のコミュニティにいる接骨院の先生も、ほとんどはこちらです。ただし、さっきのやりにくさを全部引き受けることになるし、手間も時間もかかるので、途中で諦める人がけっこう出てきます。どちらを選んでも、準備なしでやれば同じところに行き着くんですね。

決めるのは気持ちやなくて、3つの材料

一気にやっていいかどうかは、気持ちで決めないでください。見るのは3つです。運転資金がどれだけあるか、新規の患者さんが入ってくる入口を持っているか、今の稼働率に余裕があるか。値上げの3条件とほとんど同じ構造です。

運転資金は、月数で見ます。 家賃、水道光熱費、リース代、それに家の生活費を足して、それが手元の現金の何か月分にあたるかを出してください。移行の直後に売上が落ちる前提で考えるなら、落ちた状態で何か月しのげるか、という数字になります。何か月分あれば大丈夫という基準は、固定費も家族の状況も院ごとに違うので僕は持っていません。ただ、この数字を出さずに一気にやるのは、水深を測らずに飛び込むようなものです。ご家族がいるなら、必ず共有しておいてください。あとで揉める場所は、だいたいここです。

新規の入口は、看板と紹介しかないなら、一気は危ないです。 看板を見て来ていた方には、近くて安いからという理由で来ていた人が多いからです。自費の院を探している人は、看板ではなくスマホで探します。少なくとも移行を始める前に、自費で人が来るルートを1つは動かしておいてください。整骨院の集客の順番は整骨院の集客方法に書きました。

稼働率は、持ち時間のうち今どれくらい埋まっているかです。 枠がぱんぱんなら、値段を上げて人数を減らす余地があります。逆に空きだらけなら、値段より先に、埋める手を打つのが先です。

3つそろっていれば一気にやれます。2つ欠けているなら段階です。運転資金は数か月分もない、入口は看板と紹介だけ、そのうえ枠はぱんぱん。そういう先生もいると思いますが、その場合も順番そのものは変わりません。変わるのは、保険を細らせるやり方だけです。

順番は、値段→言葉→入口→保険を細らせる

一気でも段階でも、順番は同じです。値段を決める。説明の言葉を用意する。新規の入口を1つ作る。そのうえで、保険を細らせる。この順番を入れ替えないでください。

整骨院の自費移行の4つの順番。値段を決める、伝える言葉を用意する、新規の入口を1つ作る、それから保険を細らせる

順番1:値段は「1回いくら」やなくて、枠に換算して決める

自費の値段を「このへんの相場」で決めないでください。僕の目安は、週休2日・1日8時間・稼働率6割で、分単価200円です。150円を下回ると月商100万円そのものが厳しくなります。この逆算の中身は整骨院は儲からない?と、整骨院の経営が厳しい本当の理由の「手順2」に書いたので、ここでは移行の先生だけに要る計算を1つ書きます。

今の療養費の売上を、自費の枠に換算する計算です。保険の売上は来院回数を積み上げて作るもので、自費の売上は枠の数と値段で決まります。足し算の仕方が違うので、今の売上をそのまま自費に持っていくイメージが湧きにくいんですね。

  1. 直近3か月の療養費の入金額に、窓口の一部負担金を足して、月あたりの保険の売上を出す
  2. 自費の1回の料金を仮に置く(40分8,000円でも、もっと手前でもいい)
  3. 月の保険売上を、その料金で割る。これが同じ売上を自費で作るのに要る月の本数
  4. 20日で割って1日の本数にし、枠の分数を掛けて1日に使う時間を出す
  5. 1日の持ち時間(8時間×0.6=288分)に収まるかを見る

たとえば月の保険売上が53万円の院で、40分8,000円なら月66本、1日3.3本、132分です。持ち時間の半分以下なので余裕で収まります。同じ53万円を40分3,000円で作ろうとすると、月177本、1日8.8本、353分。288分を超えました。この値段では、稼働率6割の設計のままでは今の保険の売上に届きません。安い自費メニューを足しても働き方が楽にならない理由は、ここにあります。

この本数は、移行後にその人数が来てくれるという意味ではありません。保険で通っていた方の一部は離れます。それでも、移行後に何本埋まれば元の水準に戻るのかが、1日3.3本なのか8.8本なのかという数で見えていると、移行のあとの1年の気持ちがまるで違います。

順番2:伝える言葉を、料金表を貼る前に用意する

値段が決まったら、次は今通ってくれている患者さんに伝える言葉です。料金表を貼った日に、貼った紙を見て驚いた患者さんに向けて説明を始める。これがいちばんまずいやり方です。言葉の中身は、このあとの章で全部書きます。

順番3:新規の入口を1つ作る

保険の集客と自費の集客は別物です。看板と紹介で回っていた集客は、自費では機能しません。ホームページで「どういう院か、誰にぴったりか、どうなれるか」をはっきりさせて、地域で探されたときに見つかる状態にしておく。入口は1つで構いませんが、保険を細らせる前に動かしておいてください。整骨院の集客方法の順番どおりで大丈夫です。

順番4:それから、保険を細らせる

ここまでそろってから、保険を細らせます。僕が目安として渡しているのは12週間です。

時期 やること
1〜2週目 今の療養費の売上と部位の構成を出し、分単価と枠数を決める
3〜4週目 料金表を作る
5〜6週目 今通ってくれている患者さんに伝える言葉を用意する
7〜8週目 新規の入口を作りにかかる(ホームページ)
9〜10週目 告知を始める(口頭が先、掲示とLINEはそのあと)
11〜12週目 新しい料金で動かし始める
そのあと 保険を細らせる

期間も成果も約束できる数字ではなく、僕の実務の目安です。ただ、保険を細らせるのが最後だということだけは、どの院でも変わりません。

段階でいくなら、閉じる条件を先に決める

3つの材料のうち2つが欠けていて段階でいく先生は、こうしてください。

まず自費の枠を、1日1本だけ作ります。金額は順番1で出した分単価から決めた額にして、今の料金の上に乗せる安い枠にはしないでください。1,000円や2,000円の上乗せ自費は、土台の療養費が動いたときに支える力になりません。ここで妥協すると、あとで全部やり直しになります。

次に、その1本を埋めるための入口を作る。埋まるようになったら2本に増やし、2本が埋まったら、その時間ぶんだけ保険の枠を閉じる。埋まっていないうちは閉じない。一気に行く人が12週間でやることを、埋まった本数を見ながら1本ずつ進めていくと考えてください。

段階でいくときに危ないのは、時間が経つほど気持ちのほうが緩んでくることです。だから「いつまでに何本」という期限ではなく、「何本埋まったら何本閉じる」という条件のほうを、先に紙に書いておいてください。期限で決めると、来なかったときに先延ばしになる。条件で決めると、埋まった日に手が動きます。

もう1つ。保険の初検だけを取って残りを自費で受ける、という組み合わせ方を考えているなら、2026年7月の改定後の通知でその形がどう扱われるかを、自分の院の形を紙に書いて、管轄の地方厚生局か所属している団体に確認してください。可否だけを電話で聞くのではなく、形を書いて聞く。返ってきた説明は、日付と担当部署と一緒に残しておいてください。

自費移行を前に、夕方の施術室で院長が長く通う女性の患者さんと向かい合って話しているイラスト

10年通ってくれた人に、どう言うか

移行でいちばん怖いのは、ここだと思います。週に2回、雨の日も傘をさして歩いてきてくれる80代の患者さんに、来月から保険が使えなくなります、と言えるのか。言えないですよね。僕もそう思います。でも、ここを貼り紙1枚で済ませた院は、あとで必ず揉めます。

値上げの告知と、保険をやめる説明は、まったく別のものです。値上げは、同じものの値段が変わる話。保険をやめるというのは、その方にとっては、これまで数百円で受けていたものが、来月から数千円のものに入れ替わる話です。だから、長く通ってくれている方には、一人ずつ、口で伝えてください。全員に話し終えるまで、たぶん2週間くらいかかります。順番は、通っている方に口で伝えるのが先で、掲示はそのあとです。

気をつけたのは4つです。終わる日と始まる日をはっきり言うこと。金額をその場で言い切ること。こちらの希望は伝えるけれど、決めるのは相手だと明示すること。そして、その場で答えを求めないことです。この4つがあれば、断る自由が相手の側に残ります。

逆に、「うちで続けてもらったほうが〇〇さんのためですから」という言い方はしないでください。保険をやめるのは院の都合です。そこを患者さんの利益にすり替えると、目の前の方はたいてい見抜きます。これは値上げの告知文でも書いたことで、掲示に「院を続けていくために必要な判断として決めました」と書くほうが、はるかに信用されます。

金額は、聞かれる前に、こちらからはっきり言うのがコツです。それと、1回いくらで止めずに、月にいくらになるかまで出してください。今は1回500円ほどで週2回、月4,000円ほど。来月からは1回6,000円で月2回、月12,000円。3倍です。1回の金額だけを聞いた患者さんは、家に帰ってから自分で掛け算をして、そこで驚きます。驚くなら、あなたの目の前で驚いてもらったほうがいいんですね。

その場で返ってくる言葉は、だいたい3つに決まっています。

  • 「なんで保険やめるん」:保険が使えるのは、けがをしたときの施術です。痛みが落ち着いたあとも体を保つために通っていただく形は、もともと保険の対象ではないんです。これからは、その範囲の外のこともきちんとやらせてもらえる形にしたくて、自費に一本化することにしました
  • 「他所は保険が使えるのに」:そうですね。よその院さんのことは僕にはわかりません。保険で受けたいというお気持ちは間違っていないと思います。うちが変えるというだけの話です。もしお探しでしたら、近くで診てもらえるところをお伝えします
  • 「もう来られへんわ」:わかりました。それも当然だと思います。10年、ありがとうございました。また体がしんどくなったときには、声をかけてください

3つとも、言い返していません。事実を渡して、相手が決める余地を残しているだけです。「もう一度考えてみてください」と重ねないこと。押した瞬間に、10年の関係が最後だけ気まずくなります。離れる方は出ますが、僕はそれを失敗とは思いません。押して残ってもらった関係は、どのみち長くは続かないからです。保険で受けたい方に案内できる先を事前にいくつか調べておくと、あなたの後味がずいぶん違います。

この言葉が通るのは、値段の話より前に、患者さんが自分の体をどう捉えているかを聞いて、こちらの見立てとすり合わせてある院です。ここを飛ばすと、話は必ず「高くなるか、安いままか」の二択に落ちます。問診の組み立ては治療院の問診は解釈モデルが重要と治療院の問診はこの4つを意識しろに書きました。

告知の手段は、患者さんの層で決めてください。70代以上が中心の院なら紙と口頭が主で、LINEは補助です。どちらにしても口で伝えるのが先で、紙と配信はその補強です。LINE公式アカウントの配信の型も参考にしてください。

保険をやめる実務で、詰まるところ

ここからは、移行の途中でほぼ全員が一度は止まる場所です。先に断っておきますが、僕は柔整師ではないので、制度の運用の答えは出せません。できるのは、どこに聞けばいいかを示すところまでです。

受領委任の取扱いをやめるとき。 届出や手続きが要る場合があります。院の状況によって扱いが変わるので、管轄の地方厚生局と、所属している団体に、いつからやめるつもりなのかを具体的に伝えて確認してください。

最後の月の入金。 最後に出した申請書のお金は、たいてい、保険を終えたあとになってから入ってきます。何か月あとになるかは保険者によって違います。この時間差を運転資金の計算に入れておかないと、切り替えた月の手元が一段きつくなります。

料金の表示と広告。 自費の施術をする施術所がホームページなどに載せるべき項目(内容・費用・回数・リスク)は、2025年2月のあはき・柔整広告ガイドラインに書かれています。どこに何を書けて、何を書けないかは整骨院の広告規制にまとめました。回数券を使うなら、資金決済法の線と設計は整骨院の回数券の売り方を読んでください。

整体院の併設。 接骨院の中に整体の枠を作って自費を売りたい、という相談は本当によく受けます。ただ、施術室には「専用の」という条件があり、法定外の業務をその部屋でどう扱うかは、管轄の保健所によって説明が違います。僕が2016年から2018年ごろに何か所か問い合わせたときも、答えは割れました。やるなら、間取りの図面を持って管轄の保健所に事前に相談し、得た回答を日付と担当部署と一緒に記録に残してください。それと、接骨院の広告に「整体」という言葉を足すこと自体が、広告できる項目に入っていません。部屋を分ければ済む話ではないので、どう書くつもりかの文面も一緒に持っていってください。

保険中心に戻ってしまう院に共通する4つ

最後に、途中で元に戻ってしまった院に共通していたことを4つ挙げておきます。自分の計画に当てはまるものがないか、見てみてください。

  1. 安い上乗せ枠から始めている。 1,000円の自費は「移行」ではなく「足し算」です。土台が動いたら一緒に沈みます
  2. 看板と紹介だけで一気にやっている。 保険の入口は自費では機能しません。入口を1つ動かしてから保険を細らせる、この順番が逆になっています
  3. 貼り紙で済ませている。 「聞いていない」が必ず出ます。長く通ってくれている方には、一人ずつ口で伝える
  4. 期限で決めて、条件で決めていない。 「来年の4月に全部自費に」は、来年の4月に先延ばしになります。「2本埋まったら2本閉じる」のほうが手が動きます

どれも、才能や度胸の話ではありません。地味な順番の話です。今週のうちにできることを1つだけ挙げるなら、毎月出ていくお金の合計と、それが手元の現金の何か月分にあたるかを書き出すことです。その数字が、あなたが一気に行けるのか、じわじわ行くほうがいいのかを教えてくれます。これから開業する先生は、最初から自費で開ければ、ここに書いた移行の大半を経験せずに済みます。事業計画を保険の売上の前提で作らないでください(整体院の開業準備と経営を成功させる3ステップ)。

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値段、言葉、入口、それから保険を細らせる。この順番を守った先生は、一気でも段階でも、ちゃんと向こう岸に着いてはります。

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この記事の要点

  • 自費移行の失敗は腕ではなく順番。保険の院と自費の院は、来る人・渡すもの・集め方が違う別業種
  • やりやすいのは一気に切り替えるほう。リスクが小さいのは段階。どちらも準備なしなら同じところに行き着く
  • 一気にやれるかは、運転資金(月数)・新規の入口・稼働率の3つで決める。2つ欠けていれば段階
  • 順番は、値段(分単価と枠に換算)→ 言葉 → 入口を1つ → 保険を細らせる。目安は12週間
  • 段階なら、1日1本の自費枠を分単価どおりの値段で作り、「何本埋まったら何本閉じる」を先に紙に書く
  • 長く通う患者さんには貼り紙ではなく一人ずつ口で。日付と金額を言い切り、決めるのは相手、その場で答えを求めない

この記事で使った数字の出典

・個人の施術所のうち医療保険外の施術を実施していない割合(28.9%・回答1,825施術所・有効回答率12.4%):厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会 第33回(2026年2月27日)資料柔-1「令和7年度柔道整復施術所経営実態調査」の集計
・個人の施術所の医療保険からの収益(令和6年・平均約640万円・回答710施術所):同資料。本文の「月53万円」はこれを12で割った計算の練習台で、実際の月の入金とは異なる
・2026年7月改定の内容と、ウェブサイトに載せるべき事項:厚生労働省 保発0601第4号・第5号、保医発0601第1号(令和8年6月1日付)、あはき・柔整広告ガイドライン(医政発0218第1号・令和7年2月18日)。詳細は本文中でリンクした各記事の出典欄
・分単価200円・稼働率6割・12週間の工程・「9割が抜ける」・戻ってしまう院の4つ:僕の実務の目安と、僕が見てきた範囲の話。調査した数字ではありません
・クライアント事例(10人規模の保険中心の接骨院から、移転して一人の自費治療院として新規開業。開業1か月目で月商120万円ほど、1年で月商200万円):僕が個別サポートした先生の実例。同じ結果をお約束するものではありません

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